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骨太の方針2015
<経済財政運営と改革の基本方針>
メディアでよく見かける骨太方針2015って?
大きな転換期を保険薬局のチャンスに!?
~ 骨太の方針2015について、藤田が斬る! ~

対人業務評価の充実と医薬品の適正使用

対人業務評価の充実と医薬品の適正使用の推進のため、薬局における処方内容の疑義照会に対する評価等が見直された。

重複投薬・相互作用防止加算について、医師と連携して服用薬の減薬等に取り組んだことを評価するため、算定可能な範囲が拡大され、点数が30点となり、評価の充実が図られた。在宅では、今まで、残薬確認や減薬のための疑義照会に係る評価がされていなかったが、今改定で外来と同様の評価が設けられることとなった。

また、長期投薬における分割調剤についても見直しがされている。

医師が処方する長期の投薬について、30日を超える投薬を行う際には、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認し、病状が変化した際の対応方法等を患者に周知することとされた。この要件を満たさない場合には、原則として、「30日以内に再診する」「患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方せんを交付する」などの対応を行う必要がある。

薬局においては、医師が処方時に指示した場合には薬局で分割調剤を実施することとなった。その際、処方医は、処方せんの備考欄に分割日数及び分割回数を記載する。また、分割調剤を行った薬局は、2回目以降の調剤時は患者の服薬状況等を確認し、処方医に対して情報提供を行うこととされた。

上記に伴い、処方等の仕組みでは、処方医と薬局の薬剤師が連携して、円滑に患者の残薬確認と残薬に伴う調剤数量調整等が実施できるよう、処方せん様式に、調剤時に残薬を確認した場合の対応を記載する欄が設けられた。この欄にチェックがある場合は、薬局において患者の残薬の有無を確認し、残薬が確認された場合には、「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」か「保険医療機関へ情報提供」のいずれかの対応を行うこととされた。

これらの評価により、薬剤師の在宅医療への取り組み強化や、残薬削減、重複投薬の防止がさらに推進されると考えられる。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

調剤基本料の見直し

前回もご紹介した通り、調剤基本料については、点数や施設基準などが大幅に見直され、大型門前薬局に対する評価の適正化が行われた。

まず、調剤基本料の特例として、「処方せんの受付回数が1月に2,000回を超える保険薬局のうち、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超える保険薬局」、「特定の保険医療機関に係る処方せんの受付が1月に4,000回を超える保険薬局」が追加され対象の拡大が行われた。ただし、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合には特例の対象から除外するとされ、これに伴い、従来の特例対象を除外するための24時間開局の要件は廃止された。

また、大型門前薬局の評価の適正化として、同一法人グループ内の処方せん受付回数の合計が、1月に4万回を超える法人グループに属する保険薬局のうち、「特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が95%を超える保険薬局」、「特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係のある保険薬局」については20点(調剤基本料3)が設定された。また、かかりつけ機能に係る業務を一定期間行っていないと判断される保険薬局については、調剤基本料を50/100に減算するとされた。

今回の通知で、調剤基本料3における同一グループの定義及び特定の医療機関との間で不動産の賃貸借取引がある保険薬局の考え方が示された。

調剤基本料3における同一グループの定義は、保険薬局の事業者の最終親会社等及び最終親会社等の子会社等、関連会社、フランチャイズ契約をしている者等の範囲の保険薬局である。親子関係等は、議決権の過半数の所有、資本金の過半数の出資、その他これらと同等以上の支配力を有するかどうかをもって判断される。最終親会社が連結財務諸表の提出会社である場合は、連結範囲の会社は同一グループとなる。同一グループにおける処方せん受付回数が月4万回を超えているかどうかの判断は、2月末時点で所属している保険薬局の1月の処方せん回数の合計により行われる。

次に、特定の医療機関との間で不動産の賃貸借取引がある保険薬局の考え方について解説する。

賃貸借取引関係とは、保険医療機関と保険薬局の事業者が直接不動産の賃貸借取引を契約している場合を指すとされ、賃貸借取引がある保険薬局は、「保険薬局の土地または建物が特定の保険医療機関の所有である場合の当該店舗」「保険医療機関が保険薬局の事業者から土地または建物を賃借している場合において、保険医療機関と近接な位置にある当該保険薬局の店舗」のいずれかを指すものとされた。また、賃貸借契約の名義人として、保険医療機関及び保険薬局の開設者の近親者または法人の場合は当該法人の役員がなっている場合も含むとされた。

保険薬局で算定する調剤基本料の点数については、調剤基本料1から5に該当する場合に、施設基準の内容に含め、2016年4月14日までに地方厚生(支)局へ届け出る必要がある。届出をしない保険薬局は特別調剤基本料(基本料3の未妥結減算)となるので注意が必要である。なお、100分の50減算が適用された保険薬局は、基準調剤加算は算定できず、薬剤服用歴管理指導料は50点のみとなる。

調剤基本料に係る届出内容は、特定の医療機関に係る処方せんの受付回数の割合、特定の医療機関に係る処方せんの受付回数、グループ全体の処方せん受付回数が月4万回を超えるグループに属する保険薬局への該当性、特定の保険医療機関と不動産の賃貸借取引の有無、前年4月から9月末までの期間における妥結率などである。

新規指定された保険薬局は、指定日の翌月から3か月間の処方せんの実績を基に、調剤基本料の区分を判定し、実績が判定されるまでは調剤基本料1を算定可能とされた。ただし、グループ全体の処方せん受付回数が月4万回を超えるグループに属する保険薬局、特定の保険医療機関と不動産の賃貸借取引がある保険薬局に関しては、新規指定時であっても調剤基本料3を算定することとなった。

これまで、かかりつけ薬剤師・薬局の評価や、それに伴う基準調剤加算の見直し、調剤基本料の見直しに関してみてきた。やはり、今後の保険薬局に関しても、医療提供体制と同様に、超高齢社会における地域包括ケアシステムの実現に向け、従来の「門前型」から「地域住民の生活圏型」へとシフトを促す改定内容となっている。

当記事の第一弾でも述べたが、今後、かかりつけ薬剤師・薬局の役割(「服薬状況の一元的・継続的な管理・把握」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携」等)が地域住民の生活圏で増すと考えられる。超高齢社会に向けた地域の街づくりへの貢献まで視野に入れ、その中で保険薬局がどのような役割を果たせるのかを考え、自分なりのかかりつけ薬剤師・薬局をつくっていくことが大切である。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

かかりつけ薬剤師・薬局の評価に係る服薬指導等について

まず、前回もご紹介したが、かかりつけ薬剤師・薬局の評価では、かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料が新設された。これは、患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行う業務を薬学管理料として評価するためである。かかりつけ薬剤師包括管理料の包括範囲は、薬剤服用歴管理指導料、調剤料、調剤基本料である。

かかりつけ薬剤師指導料は、1か所の保険薬局における1人の保険薬剤師のみについて、患者の同意を得た後の次の来局時以降に算定が可能となっている。また、施設基準として、「3年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に6ヶ月以上在籍していること」や「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること」「医療に係る地域活動の取組に参画していること」といった要件をすべて満たす保険薬剤師を配置していることとされた。なお、研修の取得に関する規定は、2017年4月1日から施行される。

かかりつけ薬剤師指導料の算定要件では、患者に行う服薬指導等について記載がされている。かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して「患者が受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬 品等」という。)並びに健康食品等について全て把握するとともに、その 内容を薬剤服用歴に記載する」「24時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、勤務表を作成して患者に渡す」「服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を必要に応じて提供し、その取組の意義等を説明する」「必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行う」などの対応を行うこととされた。

また、かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者以外の患者への服薬指導等または地域住民からの要指導医薬品等の使用に関する相談及び健康の維持増進に関する相談に対しても、丁寧に対応した上で、必要に応じて保険医療機関へ受診勧奨を行うよう努めるといった要件も設けられている。なお、かかりつけ薬剤師指導料は、薬剤服用歴管理指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料と同時に算定することはできない。

次に、かかりつけ薬剤師包括管理料についてだが、施設基準は、かかりつけ薬剤師指導料と同様である。対象患者は、地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算または地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料を算定している患者だ。患者の服薬状況等については、薬学的知見に基づき随時把握して、保険医に対して、その都度情報提供するとともに、必要に応じて処方提案することとされた。なお、かかりつけ薬剤師包括管理料は、薬剤服用歴管理指導料またはかかりつけ薬剤師指導料と同時に算定することはできない。

基準調剤加算では、かかりつけ薬剤師が役割を発揮できる薬局の体制及び機能を評価するため、基準調剤加算が統合され、在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーへの配慮等の要件が見直された。開局時間に関しては、平日は1日8時間以上、土曜日または日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局とされた。備蓄品目は1,200品目以上とされ、また、在宅業務に関しても、年1回以上実施とされた。その他、医薬品医療機器情報配信サービス登録義務やプライバシーに配慮した構造などといった基準が設けられた。

かかりつけ薬剤師以外の薬剤師が服薬指導を行った場合は、薬剤服用歴管理指導料を算定する。

薬剤服用歴管理指導料については、業務の実態も考慮しつつ、服薬状況の一元的な把握のために患者が同一の保険薬局に繰り返し来局することを進めるため、初回来局時の点数より、2回目以降の来局時の点数が低く設定され、38点となった。ただし、手帳を持参していない患者、調剤基本料1(41点)若しくは調剤基本料4(31点)以外の調剤基本料を算定する保険薬局に処方せんを持参した患者に対して、「薬剤服用歴の記録への記載について、指導後速やかに完了させるとともに、同一患者についての全ての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう患者ごとに保存・管理する」「患者に手帳を保有することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向を確認した上で手帳を用いないこととした場合及び複数の手帳を1冊にまとめなかった場合にあってはその理由を薬剤服用歴の記録に記載する」などの指導等の全てを行った場合は、50点を算定するとされた。手帳を忘れた患者にその場で手帳を発行したとしても50点を算定する。

今改定で薬剤服用歴管理指導料が、かかりつけ薬剤師用とそれ以外の薬剤師用に分けられたことになる。これに伴い、基準調剤加算の施設基準等が厳しく見直され、さらに、調剤基本料1を算定している保険薬局のみ加算が可能とされた。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

2016年度調剤報酬改定通知内容

3月4日、2016年度診療報酬改定について、通知、告示があり、施設基準などの細かい要件が発表された。

今回の調剤報酬改定のポイントは、かかりつけ薬剤師・薬局の評価に伴う基準調剤加算の見直し、調剤基本料の見直し、医薬品の適正使用に係る評価の見直しなどである。今回はこれらの改定内容に係る通知内容を中心に解説する。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

門前薬局の評価の見直し

門前薬局の評価では、調剤基本料の点数や施設基準などが大幅に見直された。

調剤基本料では、従来の点数や妥結率が低い場合の評価等が見直され、調剤基本料1(41点)、2(25点)、3(20点)、4(31点)、5(19点)となり、それぞれに点数と施設基準が設定された。各調剤基本料の施設基準を見ると、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合や同一法人グループ内の処方せん受付回数、妥結率などに関してそれぞれ数値が設定されている。

つまり、今改定で大型の門前薬局や、妥結率の低い保険薬局などに対して厳しく数値が設定され、調剤基本料の区分が設けられたということだ。

調剤基本料の特例では、「処方せんの受付回数が1月に2,000回を超える保険薬局のうち、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超える保険薬局」「特定の保険医療機関に係る処方せんの受付が1月に4,000回を超える保険薬局」が追加され対象の拡大が行われた。ただし、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合には特例の対象から除外するとされ、これに伴い、従来の特例対象を除外するための24時間開局の要件が廃止されることとなった。

また、大型門前薬局の評価の適正化として、同一法人グループ内の処方せん受付回数の合計が、1月に40,000回を超える法人グループに属する保険薬局のうち、「特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が95%を超える保険薬局」「特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係のある保険薬局」については20点が設定された。これは調剤基本料3(20点)にあたる。また、処方せんの受付回数が 1 月に 600 回以下の保険薬局を除き、かかりつけ機能に係る業務(かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料、重複投薬・相互作用防止等加算、在宅患者訪問薬剤管理指導料等の算定)を1年行っていないと判断される保険薬局については、調剤基本料を50/100に減算するとされた。

調剤関連では今改定において、かかりつけ薬剤師・薬局機能強化の推進、門前薬局の規制強化、病院、診療所、保険薬局すべてを対象とした後発医薬品の使用促進、対物から対人への評価の重点化などが図られた。

保険薬局への影響としては、店舗数の減少や門前薬局の経営困難などが起こると考えられる。また、かかりつけ薬剤師・薬局への評価により、24時間開局・在宅への業務の実施を行わない限り、収益が見込めない構造となり、在宅移行への大型投資が可能な保険薬局及び薬局チェーンの在宅業務実施と台頭が進むと考えられる。

なお、引き続き後発医薬品の調剤、使用への評価が見直され使用促進が更に加速することも視野に入れておく必要がある。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

医薬品の適正使用の推進

多剤投薬の患者の減薬を伴う指導の評価では、薬剤に起因する有害事象の防止を図るとともに、服薬アドヒアランスを改善するために保険医療機関において、多種類の服薬を行っている患者の処方薬剤を総合的に調整する取り組みを行い、処方薬剤数が減少した場合の評価として、入院時、外来受診時または在宅医療受診時の場合それぞれに薬剤総合評価調整加算(250点)が新設された。外来受診時又は在宅医療受診時の場合では、薬剤総合評価調整管理料に加え、薬剤総合評価連携管理加算(50点)が新設された。

入院時の場合は、6種類以上の内服薬が処方されていた患者に対し、処方薬剤を総合的に調整する取組を行い、処方薬剤数が2種類以上減少した場合に、退院時1回に限り薬剤総合評価調整加算250点が算定可能となった。

外来受診時又は在宅医療受診時の場合では、6種類以上の内服薬が処方されていたものについて、処方内容を総合的に評価したうえで調整し、当該患者に処方される内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り薬剤総合評価調整加算250点の算定が可能とされた。連携管理加算(50点)については、処方内容の調整に当たって、別の保険医療機関又は保険薬局との間で照会または情報提供を行った場合に算定が可能となっている。

医薬品の適正使用の推進では、患者の処方薬剤の適正化や継続的な薬学的管理の推進などの他に、処方等の仕組みなどに関して見直しが行われた。

処方等の仕組みでは、処方医と薬局の薬剤師が連携して、円滑に患者の残薬確認と残薬に伴う調剤数量調整等が実施できるよう、処方せん様式に、調剤時に残薬を確認した場合の対応を記載する欄が設けられた。この欄にチェックがある場合は、薬局において患者の残薬の有無を確認し、残薬が確認された場合には、「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」か「保険医療機関へ情報提供」のいずれかの対応を行うこととされた。

また、医師が処方する長期の投薬については、30 日を超える投薬を行う際には、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認すること。病状が変化した際の対応方法等を患者に周知することとされた。左記の要件を満たさない場合には、原則として、30 日以内に再診するなどの対応を行うこととされた。

医薬品の適正給付適正化では、一度に多量に処方される湿布薬について適正化が行われ、外来患者に対して 1 処方につき計70枚を超えて投薬する場合は、当該超過分の薬剤料の算定が不可とされた。ただし、医師が医学上の必要性があると判断し、やむを得ず計70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能となる。湿布薬の処方時については、処方せん及び診療報酬明細書に、投薬全量のほか、一日分の用量又は何日分に相当するかを記載することとされた。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

後発医薬品の使用促進

まず、薬局における後発医薬品調剤体制加算については、新たな数量シェア目標値を踏まえ要件が見直され、数量ベースでの後発医薬品の調剤割合が65%以上及び75%以上の2段階の評価に改められた。また、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超える場合であって、後発医薬品の調剤割合が30%未満の保険薬局については、基準調剤加算を算定不可とされた。

後発医薬品使用体制加算では、後発医薬品の更なる使用促進を図る観点から、後発医薬品使用率の向上に伴う基準の見直しが行われ、後発医薬品使用体制加算1(42点)が新設された。施設基準では、後発医薬品のある先発医薬品、後発医薬品について、当該薬剤を合算した使用薬剤の薬価別表に規定する規格単位ごとに数えた数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合等がそれぞれ設定された。

院内処方の外来における後発医薬品使用体制の評価では、後発医薬品の更なる使用促進を図る観点から、院内処方を行う診療所について、後発医薬品の使用を推進している場合の評価として外来後発医薬品使用体制加算1(4点)、2(3点)が新設された。

一般名処方加算の見直しでは、後発医薬品のさらなる使用促進を図るため、後発医薬品が存在する全ての医薬品を一般名で処方している場合の評価として、一般名処方加算1(3点)が新設された。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

薬局における対人業務の評価の充実

薬剤服用歴管理指導料では、服薬状況の一元的な把握のために患者が同一の保険薬局に繰り返し来局することを進めるため、初回来局時の点数(50点)より、2回目以降の来局時の点数が低く設定され、38点となった。ただし、手帳を持参していない患者または調剤基本料の特例の対象となる保険薬局に処方せんを持参した患者については、来局回数にかかわらず、初回来局時の点数と同一の点数を算定することとされた。

お薬手帳については、紙媒体と同等の機能を有する場合には、算定上、紙媒体の手帳と同様の取扱いとするとされ、例えば、医療従事者が患者の保有する機器を直接受け取ることなく手帳情報の閲覧等ができる仕組みを有していること。複数の運営事業者等が提供している電子版の手帳を一元的に情報閲覧等ができること。さらに、セキュリティに関する要件等を満たすこととされた。

電子お薬手帳と併せ、電子処方せんが2016年4月より導入されることとなりました。電子処方せんは、ASPサーバから提供される「処方せんID」と「確認番号」を使用して運用が行われる。まず、医療機関が処方せんID記載した「電子処方せん引換証」と確認番号を患者に伝達、交付し、患者がそれらを薬局に提出する。薬局は処方せんIDと確認番号により、サーバにある「電子処方せん」を確認し、調剤を行う。そして必要に応じて疑義照会を行い、患者に服薬指導の上、薬剤を交付。その後、調剤結果等がサーバを介して処方した医療機関に送信される仕組だ。

電子処方せん非対応の薬局では、患者に電子処方せん引換証を紙の処方せんに転換する旨を説明し、電子処方せん引換証に記載された運営主体の連絡先に電話で、処方せんIDと確認番号を伝達し、処方せんを無効化し、調剤を行います。

電子処方せんの普及により、患者に応じた服薬指導の実施や、医療機関と保険薬局間の調剤情報の共有などが容易になると考えられる。また、後発医薬品の使用促進にもつながると期待されている。

重複投薬・相互作用防止加算では、医師と連携して服用薬の減薬等に取り組んだことを評価するため、算定可能な範囲が見直され、薬剤服用歴に基づき過去の副作用歴やアレルギー歴を有することから処方医に対して疑義照会を実施して処方変更となった場合等についてもこの加算が算定可能となった。見直しに伴い、疑義照会により処方内容に変更がなかった場合の評価は廃止された。また、名称の見直しが行われ「重複投薬・相互作用等防止加算」となった。

外来服薬支援料では、調剤後における継続的な薬学的管理を推進するため、患者が保険薬局に服用薬等を持参し、保険薬剤師が服薬管理等を行った場合についても算定が可能なった。また、患者の来局時のほか、保険薬剤師が患家を訪問して服用薬の整理等を行った場合でも算定が可能となった。

分割調剤に関しては、長期保存が困難な場合や後発医薬品を初めて使用する場合以外であっても、患者の服薬管理が困難である等の理由により、医師が処方時に指示した場合には薬局で分割調剤を実施することとなった。その際、処方医は、処方せんの備考欄に分割日数及び分割回数を記載しなければならない。また、分割調剤を行った薬局は、2回目以降の調剤時は患者の服薬状況等を確認し、処方医に対して情報提供を行わなければならない。

継続的な薬学的管理を評価した服薬情報等提供料及び長期投薬情報提供料については、類似の業務内容を評価するものであることから、長期投薬情報提供料が削除され服薬情報等提供料と統合(20点)となった。

調剤料では、内服薬の調剤料及び一包化加算について、対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため見直しが行われた。内服薬の調剤料では15日分以上 21日分以下(70点)、22日分以上 30日分以下(80点)、31日分以上の場合(87点)の点数がぞれぞれ引き下げられた。一包化加算については、日数等が改められ、43日分以上の場合が220点となった。

対人業務に関する業務の評価を充実するため、特定薬剤管理指導加算及び乳幼児指導管理加算の評価が見直され、それぞれ点数が引き上げられた。特定薬剤管理指導加算は、従来の4点から10点に、乳幼児服薬指導加算は、5点から10点に引き上げられた。

在宅への取り組みに関する評価として、在宅薬剤管理指導業務を推進する観点から、在宅療養を行う患者への処方に対して、処方医に疑義照会することにより、重複投薬・相互作用の防止、残薬に伴う処方日数の調整、減薬などの薬物療法の適正化が実施された場合を評価するため、薬学管理料に在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料(30点)が新設された。

在宅患者訪問薬剤管理指導料では、薬剤師1人につき1日当たりの算定制限(1日当たり5回→1週間当たり40回に)や同一世帯に居住している複数の患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導業務を行った場合について見直しが行われ、1人目の患者に対しては「同一建物居住者以外の場合」の点数が算定できることとなった。また、医療機関の薬剤師が行う場合についても算定制限が見直され、1週間につき40回となった。

さらに、特別養護老人ホームを訪問し、入所している患者に対して薬学的管理を行った場合の評価(38点)が新設された。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

かかりつけ薬剤師・薬局の評価に係る2016年度調剤報酬改定内容

2月10日、中医協総会にて平成28年度診療報酬改定答申が行われた。

今改定は超高齢社会における地域包括ケアシステムの実現に向け、機能分化・強化や連携、在宅復帰、在宅支援などの推進、強化が図られる改定内容となった。

入院医療では、一般病棟用などの重症度、医療・看護必要度や患者割合の見直し、在宅復帰率の見直しなどが行われ、2014年度改定に引き続き、さらなる7対1病床の削減、機能分化、在宅復帰の推進などが図られる。

地域包括ケア病棟、療養病棟では、急性期からの受入の評価、リハビリテーションでは、入院時と退院後の医療のつながりを保つよう評価の見直しがされ、比較的軽度な急性期患者の受入や連携の強化が図られる。

精神関連やがん関連では、身体合併症を有する精神疾患患者の受入体制の確保や地域がん診療病院等の整備の評価、がん治療中の外来患者の在宅医療への連携の充実などが図られ、精神患者の地域移行やがん患者の在宅支援、医療機関間の連携の強化が図られる。

外来医療では、かかりつけ医機能の拡大や地域包括診療料等の要件の緩和、紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入が図られ、機能分化や地域包括ケア体制づくりなどがさらに推進されることとなった。

在宅医療では主に、同一建物居住者に対する診療の評価の細分化や重症度・居住場所に応じた評価が行われた。

中でも調剤関連では、かかりつけ薬剤師・薬局の評価が行われ、かかりつけ薬剤師・薬局機能の強化の推進が図られることとなった。一方、大型門前薬局や妥結率が低い保険薬局、後発医薬品の調剤割合が低い保険薬局については大変厳しい改定内容となった。

まず、かかりつけ薬剤師・薬局の評価では、患者が選択したかかりつけ薬剤師が服薬指導等の業務を行った場合の評価として、「かかりつけ薬剤師指導料(70点)」と包括的な評価「かかりつけ薬剤師包括管理料(270点)」が新設された。かかりつけ薬剤師指導料は、患者の同意を得た後の次の来局時以降に算定可能とされ、患者の同意については、患者の署名付きの同意書を作成した上で保管することとされた。また、算定する保険薬剤師は、「薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に半年以上在籍していること」や「研修認定制度等の研修認定を取得していること」「医療に係る地域活動の取組に参画していること」といった要件を満たしていることを地方厚生局長等に届け出ていなければならない。また、担当患者に対する業務についても要件が設定されており、「患者が受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品並びに健康食品等について全て把握するとともに、その内容を薬剤服用歴に記載すること」「患者から 24 時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、勤務表を作成して患者に渡すこと」「調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を薬剤を処方した保険医にその内容を情報提供し、必要に応じて処方提案すること。服薬状況の把握の方法は、患者の容態や希望に応じて、定期的に連絡できるようにすること」といった要件が設けられている。かかりつけ薬剤師包括管理料についても、かかりつけ薬剤師指導料の算定要件を満たしている必要がある。

基準調剤加算については、加算が統合され32点となり、調剤基本料1を算定している保険薬局のみ加算可能となった。施設基準では、「平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局していること」「「十分な医薬品を備蓄している(1,200品目以上)」「24時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること」「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績を有していること」「かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準の届出を行っていること」などが設定されている。また、体制及び機能の整備として「医薬品医療機器情報配信サービスの登録」、「患者のプライバシーに配慮した構造」が要件とされ、「管理薬剤師は5年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に1年以上在籍していること」「健康相談又は健康教室を行っている旨の薬局内掲示」が新たに要件として義務付けられた。

また、後発医薬品の調剤割合が低い保険薬局に対する評価の適正化の観点から、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超える場合であって、後発医薬品の調剤割合が30%未満の保険薬局については、基準調剤加算が算定不可とされた。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

諮問内容等からみるかかりつけ薬剤師・薬局の評価

1月13日、中医協総会にて平成28年度診療報酬改定について諮問が行われ、それと同時に平成28年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)が提出された。この議論の整理案は、パブリックコメント募集用と1月22日開催の公聴会の資料となるものだ。また、この議論の整理案の項目立てについては、平成27年12月7日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会においてとりまとめられた「平成28年度診療報酬改定の基本方針」に即して行われており、今後、おおむねこの案に沿って改定が行われる見込みだ。

整理案は「平成28年度診療報酬改定の基本方針」で示された「地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点」「患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点」「重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点」「効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点」の4つに大分されまとめられている。

このうち薬剤師・薬局に係る改定内容として、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価、かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化などについて詳細が少しずつ明らかになってきた。今回はその内容を紹介、解説したいと思う。

まず、地域包括ケアシステム推進のためのかかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価についてだが、患者本位の医薬分業の実現に向けて、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して業務を実施するかかりつけ薬剤師・薬局を以下のように評価するとしている。

  • 「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行う業務を薬学管理料として評価する。
  • 1.の評価に加え、地域包括診療料又は地域包括診療加算が算定される患者に対してかかりつけ薬剤師が業務を行う場合は、包括的な点数で評価することも可能とする。
  • 基準調剤加算について、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーへの配慮等の要件を見直す。
  • 患者に対する丁寧な情報提供を推進する。

前回、facebook掲載原稿第七弾でも述べたが、今回示された内容からも、やはり今後の薬剤師・薬局の機能では「対物から対人業務へ」「24時間対応・在宅対応」「服薬情報の一元的・継続的把握」「医療機関等との連携」が重要になると考えられる。これらは、かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき機能の3要素とも通ずるものである。

質の高い在宅医療・訪問看護の確保については、在宅薬剤管理指導業務を推進する観点から、

  • 医師との連携による薬剤師の在宅業務を推進するため、医師の処方内容に対する疑義照会に伴い処方変更が行われた場合を評価する。
  • 薬剤師1人が行う算定制限と、同一世帯に居住している複数の患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導業務を行った場合の評価を見直す。
  • 介護老人福祉施設に入所している患者に対して、施設での適切な服薬管理等を支援するために、当該施設を訪問して保険薬剤師が行う薬学的管理を評価する。

とされた。このことからも薬剤師の医療機関等との連携や在宅訪問等を推進していくという国の意向を感じ取ることができる。

また、情報通信技術(ICT)を活用した医療連携や医療に関するデータの収集・利活用の推進では、お薬手帳に関する内容も盛り込まれており、電子版の手帳であっても、紙媒体と同等の機能を有する場合には、算定上、紙媒体の手帳と同様の取扱いを可能とすることが示された。電子お薬手帳はスマートフォンなどに専用のアプリケーションをインストールすることができ(ICカードを利用したものもある)、いつでも持ち歩くことが可能というメリットがあるが、個人情報のセキュリティーの安全性が懸念される。電子お薬手帳が普及した場合、お薬手帳の持参忘れの防止、重複投薬の防止、飲みあわせの確認による副作用の防止、服薬状況の記入漏れの防止、確認、医療従事者間での情報共有等が可能となり、残薬削減による薬剤費の削減や一元的な服薬管理、疑義照会などがしやすくなると考えられる。

また、かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化では上記に加え、薬剤師・薬局による対人業務の評価を充実する観点から、以下のような見直しを行うとしている。

  • 薬剤服用歴管理指導料は、服薬状況の一元的な把握のために患者が同一の保険薬局に繰り返し来局することを進めるため、初回来局時の点数より、2回目以降の来局時の点数を低くする。ただし、調剤基本料の特例の対象となる保険薬局は除く。
  • 医師と連携して服用薬の減薬等に取り組んだことを評価するため、重複投薬・相互作用防止加算については、算定可能な範囲を見直す。見直しに伴い、疑義照会により処方内容に変更がなかった場合の評価は廃止する。
  • 調剤後における継続的な薬学的管理を推進するため、

    ア 患者宅にある服用薬を保険薬局に持参させた上で管理・指導を行うことで残薬削減等に取り組むことを評価する。

    イ 現行の対象に加え、やむを得ない事情がある場合等に、分割調剤を活用することを可能とする。これに伴い、分割調剤を行う場合の調剤基本料等の評価を見直す。

  • 服薬情報等提供料及び長期投薬情報提供料については統合する。
  • 内服薬の調剤料や一包化加算の評価を見直す。
  • 算定上、紙媒体の手帳と同様の取扱いを可能とする。
  • 薬手帳について、薬剤服用歴管理指導料による点数の差を設けている現行の取扱いを見直し、患者が手帳を持参して来局することで1.の低い点数が算定できるようにする。

この項目からも、重複投薬・相互作用防止や残薬削減、疑義照会による処方内容の変更に対する評価など、服薬情報の一元的・継続的把握や在宅対応、対物から対人業務への重点化が図られることが見て取れる。

残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取組など医薬品の適正使用の推進では、医師と連携して服用薬の減薬、調剤後における継続的な薬学的管理、医師との連携による薬剤師の在宅業務の評価に加え、多種類の内服薬を服用している患者について、処方薬剤を減少させる取組を行い、処方薬剤数が減少した場合の評価、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」を改正し、正当な理由なく療養に関する指導に従わない患者等を把握した場合について、保険者への通知義務の規定が図られる見込みである。

患者本位の医薬分業を実現するための調剤報酬の見直しについては、患者本位の医薬分業を推進する観点から、以下のような見直しが行われる見込みだ。

  • 現行の処方せん受付回数及び特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤割合に基づく調剤基本料の特例対象範囲の拡大
  • 大型門前薬局の評価の適正化のため、医療経済実態調査に基づく薬局の収益状況、医薬品の備蓄等の効率性等も踏まえ、規模の大きい薬局グループであって、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が極めて高い等のいわゆる大型門前薬局については、調剤基本料の評価を見直す。
  • (1)又は(2)で特例の対象となった保険薬局であっても、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合には特例の対象から除外する。これに伴い、現在の特例対象を除外するための24時間開局の要件は廃止する。
  • 妥結率が低い場合に調剤基本料の特例対象とする取扱いについては、薬局における妥結状況の推移等を踏まえ、一部見直す。
  • 調剤基本料として算定する点数が随時把握できるように、算定する基本料の点数を施設基準の内容に含め、地方厚生(支)局へ届け出ることとする。
  • 調剤報酬の算定回数を踏まえ、かかりつけ機能に係る業務を一定期間行っていないと判断される薬局については評価を見直す。

上記の通り、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が極めて高い等のいわゆる大型門前薬局の調剤基本料の評価を見直すなど、大型門前薬局に対して大変厳しい改定内容となる見込みです。ただし、かかりつけ薬剤師としての業務である「24時間対応・在宅対応」「服薬情報の一元的・継続的把握」「医療機関等との連携」等を行っている場合は対象外となることが示されている。注意すべきは(6)にある、大型門前薬局でなくともかかりつけ機能に係る業務を一定期間行っていないと判断される薬局については評価を見直すという点だ。この記述からは、地域包括ケアの構築に向け、すべての薬局をかかりつけ薬剤師・薬局にするという国の意向が伺える。

医薬品、医療機器、検査等の適正な評価に関する項目では、湿布薬に関して、

  • 一定枚数を超えて湿布薬を処方する場合には、原則として処方せん料、処方料、調剤料、調剤技術基本料及び薬剤料を算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず一度に一定枚数以上投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することとする。
  • 湿布薬の処方時は、処方せんや診療報酬明細書に、投薬全量のほか、具体的な用量等を記載することとする。

といった内容が盛り込まれた。

後発医薬品の使用促進・価格適正化、長期収載品の評価の仕組みの検討については、

  • 後発医薬品の更なる使用促進を図る観点から、
    • 薬局における後発医薬品調剤体制加算について、新たな数量シェア目標値を踏まえ要件を見直す。また、特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤割合が高く、後発医薬品の調剤数量の割合が低い保険薬局については、基準調剤加算を算定できないこととする。
    • また、医療機関における後発医薬品の使用促進のため、

      ア 後発医薬品使用体制加算の評価について、後発医薬品調剤体制加算と同様の計算式(新指標)に改める。

      イ 院内処方における後発医薬品の使用促進の取組を評価する。

      ウ DPC対象病院における後発医薬品係数の評価上限を見直す。

    • 一般名での処方を促進するための評価の見直しを行う。
    • 処方時に後発医薬品の銘柄を記載した上で変更不可とする場合には、処方せんにその理由を記載する。
  • 新規後発医薬品の薬価は「先発品の100分の50を乗じた額(内用薬については、銘柄数が10を超える場合は100分の40を乗じた額)」とする。
  • 長期収載品の薬価における、一定期間を経ても後発医薬品への適切な置換えが図られていない場合の「特例的な引下げ」の対象となる後発医薬品の置換え率について、新たな数量シェア目標を踏まえ引き上げる。

とされた。ここでも、「特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤割合が高く、後発医薬品の調剤数量の割合が低い保険薬局については、基準調剤加算を算定できないこととする。」といった記述がなされており、後発医薬品の促進に関しても大型門前薬局に対して厳しい改定内容となることが予想される。

ここまで薬剤師・薬局に係る議論のとりまとめを見てきた。以上のことからも、かかりつけ機能に係る業務を行っていない地域の薬局、大型門前薬局の評価は大変厳しいものになると考えられる。2025年に向け「服薬情報の一元的・継続的把握」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携」等を果たし、「地域住民が安心して暮らせる街づくり」まで視野に入れ、地域住民に必要とされるかかりつけ薬剤師・薬局を目指すことが大切である。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

次期既収載医薬品の薬価改定について

既収載医薬品の薬価改定における後発医薬品については、現行ルールでは、組成、剤形区分及び規格が同一である全ての既収載品群を、

  • 「最高価格の30%を下回る算定額となる既収載品については、該当する全ての品目について加重平均した算定額(統一名)とする。
  • 最高価格の30%以上、50%を下回る算定額となる既収載後発品については、該当する全ての品目について加重平均した算定額(銘柄別)とする。
  • 最高価格の50%の額以上の算定額となる既収載後発品については、該当する全ての品目について加重平均した算定額(銘柄別)とするとしている。次期薬価制度改革においては、平成28年改定後の価格帯の状況を踏まえ、更なる価格帯の集約について検討するとした。

長期収載品については、「特例的な引き下げ」(Z2)の対象となる後発医薬品の置換え率について、「30%未満」、「30%以上50%未満」、「50%以上70%未満」と引き上げることとしてはどうかとされた。

基礎的医薬品については、薬価を下支えする制度として位置付け、28年改定においては試行的な取組みとして、

  • 収載から25年以上経過し、かつ成分全体及び銘柄の乖離率が全ての既収載品の平均乖離率以下
  • 一般的なガイドラインに記載され、広く医療機関で使用されている等、汎用性のあるもの
  • 過去の不採算品再算定品目、並びに古くから医療の基盤となっている病原生物に対する医薬品及び医療用麻薬。なお、基礎的医薬品の制度によらず十分な収益性が見込まれる品目は対象外とするとともに、基礎的医薬品として薬価が維持されている間は継続的な安定供給を求めることとする。

といった要件を全て満たす医薬品を対象とし、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約してその薬価を維持することとしてはどうかとされた。

薬創出・適応外薬解消等促進加算については、現状を踏まえ、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行を継続してはどうか。なお、次期薬価制度改革後も引き続き未承認薬・適応外薬の開発の進捗を確認することに加え、新薬創出のための研究開発の具体的成果についても確認し、制度の在り方について検討することとしてはどうかとされた。

市場拡大再算定については、

  • 年間販売額が1,000億円を超え1,500億円以下、かつ予想販売額の1.5倍以上の場合
    改定後薬価= 改定前薬価 ×{(0.9)log X / log1.5 +α}
  • 年間販売額が1,500億円を超え、かつ予想販売額の1.3倍以上の場合
    改定後薬価= 改定前薬価 ×{(0.9)log X / log1.3 +α}

上記のいずれかの要件を満たす品目に対しては特例的に市場拡大再算定(特例再算定)の対象とし、それぞれの基準倍率に応じた算定式にしてはどうか。その際、再算定による価格の引下げの率の限度については、①の場合は現行と同じ水準(最大25%)、②の場合は最大50%としてはどうか。なお、イノベーションの評価と国民皆保険の維持を両立する観点から、特例再算定の類似品は特例対象品を根拠に算定された品目に限ることとするが、特例再算定の在り方については次期薬価制度改革後も引き続き検討する方向性が示された。

今回薬価専門部会で議論された次期薬価制度改革の骨子(たたき台)については、おおむね提案通りに進む見込みだ。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

次期新規収載医薬品の薬価算定について

12月16日、薬価専門部会にて「次期薬価制度改革の骨子(たたき台)」について議論が行われた。

まず、新規収載医薬品の薬価算定における先駆け審査指定制度加算については、現行の先駆導入加算を「先駆け審査指定制度加算」とし、先駆け審査指定品目を当該加算又は原価計算方式の営業利益率で評価してはどうか。また、加算率については「10%」を原則としつつ、充実した国内臨床試験成績に基づき我が国の医療に貢献する医薬品については、市場性加算(Ⅰ)と同様に、最大で「20%」までの加算で評価できることとしてはどうかといった案が示された。

外国平均価格調整については、未承認薬・適応外薬問題の更なる解消に向けて、開発要請・公募された品目のうち、直近の外国での承認日が日本での承認日から10年より前、外国平均価格が算定薬価の3分の1未満。ただし、承認申請にあたり製造販売業者の負担が相当程度低いと認められるものは除くといった要件をすべて満たすものについて、外国平均価格調整の対象外とする方向性が示された。

新規性の乏しい医薬品については、現行ルールでは、類似薬効比較方式(Ⅱ)の除外規定である承認時期(最も早く薬価収載された医薬品の収載日から3年以内)を撤廃してはどうか。また、「補正加算に該当しない」「製造販売業者、主たる効能及び効果、薬理作用、投与形態及び臨床上の位置付けが同一とみなせる既収載品がある」「上記既収載品の収載後5年以降に薬価収載されるもの。ただし、後発医薬品対策といえるかについては、開発の経緯や治験デザイン等も確認した上で、総合的に判断する。」もの全てに該当し、後発医薬品対策とも考えられる新薬については、ラセミ体を光学分割した場合と同様に、既収載品より低い評価(100分の80を乗じた額)としてはどうかとされました。

新医療用配合剤については、配合剤の算定において、臨床上併用されない単剤を組み合わせて比較薬とする場合は、それぞれの単剤の1日薬価を足し合わせた額を当該配合剤の1日薬価の上限としてはどうか(抗HIV薬を除く)。

新規後発医薬品については、現行ルールでは、新規後発医薬品の薬価は「先発品の100分の60を乗じた額(内用薬については、銘柄数が10を超える場合は100分の50を乗じた額)」とすることとされているが、「先発品の100分の50を乗じた額(内用薬については、銘柄数が10を超える場合は100分の40を乗じた額)」としてはどうか。なお、バイオ後続品については従前どおりとすることとしてはどうか。

新規後発品の価格の乖離率については、内服薬全体で28.3%、注射薬0.6掛けでは28.0%となっており、注射薬についても乖離率が高くなっている。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

平成28年度調剤報酬改定の動向

薬局・薬剤師の在り方は「かかりつけ薬局」から「かかりつけ薬剤師」へと大きな転換を迎え、対物から対人への評価に重きが置かれる。また、厚生労働省は、2025年までに全ての薬局を「かかりつけ薬局」化するとしている。この基本的な方向性を踏まえ、調剤報酬においても、かかりつけ薬剤師・薬局の評価、対人業務の評価の充実、かかりつけ薬局の機能を持たない門前薬局の評価の見直しについて議論が進められている。

かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき機能としては、「服薬情報の一元的・継続的把握」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携」の3つがあげられる。医師と薬剤師の連携により、服薬コンプライアンスの上昇・副作用の回避等の効果があったとの調査結果も出ている。こうしたことから、かかりつけ薬剤師・薬局の評価では、薬剤師が医師と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握する業務を評価する方向性だ。また、かかりつけ薬剤師の業務の包括的な評価も検討される。基準調剤加算では、在宅訪問の実績要件がさらに求められ、開局時間、相談時のプライバシーに配慮した要件の追加、24時間対応に関する実態に即した要件の明確化など、かかりつけ機能を評価する考えだ。また、かかりつけ機能を有する薬局としては、かかりつけ薬剤師となりうる、薬局に一定時間以上勤務する薬剤師を配置することを基準調剤加算の要件に追加する方向性だ。

対人業務の評価の充実では、薬剤服用歴管理指導料について、2回目以降に手帳を持参して来局する場合の点数を低く設定する構えだ。お薬手帳については、電子版の手帳であっても、紙媒体と同等の機能を有する場合には、算定上、紙媒体の手帳と同様の取扱いとする方向性だ。重複投薬・相互作用防止加算については、医師と連携の上、減薬等にかかる疑義照会を進めるため、加算できる範囲の見直しなど評価を充実させる。残薬削減についてはブラウンバッグの推進が検討される。また、対物業務から対人業務への構造的な転換を促すため、調剤料の評価の見直しや、調剤料や指導料の評価の仕組みの在り方についても引き続き検討される方向性だ。

かかりつけ薬局の機能を持たない門前薬局の評価の見直しでは、大規模門前薬局の評価の適正化のため、現行の処方箋受付回数と集中率による特例対象の要件については、次期改定以降、段階的に拡大し、また、特例対象を除外するための24時間開局の要件が廃止される方向性だ。また、店舗数の多い薬局、特定の医療機関から処方せんを多く受け付けている薬局、特定の医療機関との関係性が深いとみなされる薬局について評価が見直される。未妥結減算制度については、制度を継続し、薬局の対象範囲が見直される。調剤基本料の特例対象施設や未妥結減算対象施設については、随時把握できるよう、施設基準として地方厚生(支)局へ届け出ることになる見込みだ。

以上のことからも、かかりつけ機能に係る業務を行っていない薬局の評価は大変厳しいものになると考えられる。

2025年に向け、薬剤師・薬局は原点に立ち戻り、残薬や多剤・重複投薬の削減、在宅医療などに積極的に取り組み、医療費の適正化や患者にとってメリットが感じられる医薬分業を行っていく必要がある。今後10年の改定の様子をただ伺い、従うばかりではなく、今からかかりつけ薬剤師を配置し、積極的に在宅医療や服薬状況の一元的・継続的管理に努め、自分なりのかかりつけ薬剤師・薬局を今後3年間のうちにつくっていくことが大切である。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

平成28年度診療報酬改定に向けた各委員の考え方

平成28年度診療報酬改定の改定率は、医師の技術料など本体をプラス0.49%、薬価をマイナス1.33%とする方針となり、本体と薬価を合わせた全体はマイナス0.84%となった。また、12月4日の薬価調査の速報値による薬価の平均乖離率は約8.8%、材料価格調査の速報値による特定保険医療材料価格の平均乖離率は約7.9%であることが示された。この乖離率が診療報酬、調剤報酬の財源に影響する。以上のことからも、2016年度調剤報酬改定の動向が大変注目されます。

12月11日の中医協では、平成28年度診療報酬改定について、支払側委員、診療側委員の意見を両論併記した公益委員案が厚生労働大臣あてに中医協として提出された。

平成28年度診療報酬の基本方針「重点的に取り組む課題として、医療機能の分化・強化、連携を含め、在宅医療や訪問看護の整備を進め、効果的・効率的で質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築する」については、支払側委員と診療側委員の意見の一致をみた。しかし、このような基本認識の下で、どのように平成28年度診療報酬改定に臨むべきかについては、支払側委員と診療側委員とで意見の相違が見られた。

まず、支払側は、政府の掲げる強い経済の実現は未だ道半ばであり、医療保険者の財政は深刻な状況に陥っている一方で、医療経済実態調査の結果では、医療機関等の経営は全体としてはおおむね堅調に推移していること、足下で賃金・物価に改善傾向が見られるとしても、長年に亘り賃金・物価の伸びを上回る診療報酬改定が行われてきていることを考慮すれば、患者負担や保険料負担の増加につながる診療報酬の引上げを行うことは、到底、国民の理解と納得が得られないことから、平成28年度改定において、診療報酬はマイナス改定とすべきとの意見であった。また、平成26年度改定と同様、薬価・特定保険医療材料価格の引下げ分を診療報酬本体に充当せず、国民に還元すべきとの意見であった。

一方、診療側は、医療経済実態調査の結果等から、医療機関等は総じて経営悪化となったこと、超高齢社会に対応し、地域包括ケアシステムの確立を含め、国民の安心・安全の基盤を整備するためには、過不足ない財源投入が必要であること、医療には経済波及効果、雇用創出効果もあり、アベノミクスの成果による賃金上昇を医療従事者にももたらす必要があることから、必要な財源を確保し、診療報酬本体はプラス改定とすべきとの意見であった。また、薬剤と診察等とは不可分一体で、その財源を切り分けることは適当でなく、薬価等の引下げ分は本体改定財源に充当すべきとの意見であった。

公益委員の考えとしては、診療報酬改定は、基本方針に沿って、診療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することにより、国民・患者が望む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費の適切な配分を行うものである。厚生労働大臣におかれては、これまでの議論を踏まえ、平成28年度予算編成に当たって、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し適切な対応を求める。また、我が国の医療が抱える様々な課題を解決するためには、診療報酬のみならず、都道府県に設置された地域医療介護総合確保基金の活用や予防・健康づくりの取組など、幅広い医療施策を講じていく必要があり、この点についても十分な配慮が行われるよう望むとされた。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

次期薬価制度改革の対応の方向性

平成28年度薬価改定においては、既存薬価について、薬価調査に基づく市場価格を踏まえて適正化し、その結果を適切に医療費の伸びの減に反映していくことが重要である。

また、消費税率10%への引き上げの際、現行の非課税扱いに変更がない場合には、課税仕入れに係る消費税負担増については、診療報酬・薬価改定により対応することとなる。医療費を課税扱いとする場合には、消費税制度の中で税額控除が行われることとなり、診療報酬・薬価に含まれる課税仕入れに係る消費税対応分の是正が必要となる。

後発医薬品の使用促進については、新たな数量シェア目標が定められたことから、その達成に向け、考え得る追加的な措置を早期かつ総合的に実施していく。

今改定においては、後発医薬品の価格について、新規収載品・既収載品ともに、現行の価格算定ルールを一層強化し、更なる価格の引き下げを図る構えだ。また、特許切れ先発医薬品の価格については、Z2に関し、新目標を踏まえた置き換え率の閾値の見直しや引き下げ率の拡大を図るとされた。

特許切れ先発医薬品に関しては、後発医薬品の価格を超える部分を患者の自己負担とする制度改革について、平成29年度央における後発医薬品の数量シェア目標の進捗評価の時期を目途に、具体化の方策をとりまとめる方向性だ。

医薬品産業の国際競争力の強化については、新薬創出・適応外薬解消等促進加算について、本格導入を図る場合は、費用対効果評価の本格実施を前提としたうえで、真に有用な新薬等を評価する枠組みとして重点化していく考えだ。また、国際競争力協丘に向けては、研究開発促進のための施策や、業界再編を含む企業努力・環境整備を含め、創薬能力の向上を図るための幅広い措置を講ずる方向性である。

市場拡大再算定の年間販売額が巨額な品目の在り方については、現行の市場拡大再算定の要件と異なり、別の要件を設定することについてどう考えるかといった論点が示されており、要件の設定として、「巨額」の水準の設定、「巨額」の際の市場拡大再算定の基準倍率(現在は原則2倍以上)の引き下げ、算定方式による違いなどが検討される方向性だ。

また、基礎的医薬品については、現行の不採算品再算定、最低薬価になる前の薬価を下支えする制度として位置づけてはどうか。平成28年改定においては試行的な取組みとして、累次の薬価改定を受けた結果、市場実勢価格と薬価が乖離していない医薬品であって、古くから医療の基盤となっている治療領域の医薬品や、過去に不採算再算定を受けたことのある医薬品を対象として、その薬価を維持することとしてはどうか。その際、一般的なガイドラインにも記載されていないものや、特定の医療機関のみで使用されているもの等、汎用性のない医薬品等は除くこととしてはどうか。今回の対象品目については、薬価算定組織に基礎的医薬品の該当性等の確認を求めた上で中医協において決定することとしてはどうか。また、次回改定以降については、今回の対応を踏まえつつ、薬価上の措置が必要な基礎的医薬品の考え方に関して引き続き検討していくことでどうかといった方向性が示されている。

新薬創出・適応外薬解消等促進加算に関しては、国内の未承認薬・適応外薬の開発状況等を踏まえ、現在試行を継続している新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行の在り方について検討が行われる見込みだ。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

中医協における調剤報酬改定関連の動向

厚生労働省が公表した「患者のための医療ビジョン」では、「立地から機能へ」「対物業務から対人業務へ」「バラバラから1つへ」との基本的な考え方が示された。現行の調剤報酬については、診療報酬本体とは別に、ゼロベースでの抜本的かつ構造的な見直しがされる見込みである。

調剤基本料については、面分業等の質的充実を図る観点から、大型門前薬局を念頭に低い点数が設定されている特例の対象拡充や点数の引き下げを図る見込みだ。

基準調剤加算については、基準となる集中率要件の大幅な引き下げ、備蓄数の引上げ等の算定要件の厳格化、24時間体制について、夜間・休日の対応の実績を要件とするなどの見直しが行われる見込み。

後発医薬品調剤体制加算については、数量シェアの上昇を踏まえつつ、閾値の見直しに加え、加算の水準の引き下げや、取り組みが不十分な薬局に対する減算措置の導入等を図る見込みである。

調剤料については、調剤料の水準を全体として引き下げるとともに、院内処方と同様に投薬日数や剤数に関わらず定額となる見込みだ。平成28年度改定においては、まずは、全体の水準を半分程度に引き下げ、投与日数に応じて点数の伸びが逓減していく配分とし、段階的に定額化を進めていく方針だ。

また、一包化についても、点数を大幅に引き下げ、投与日数に連動した点数配分を廃止することが示されている。

薬剤服用歴管理指導料については、真に効果的に、継続的かつ一元的な管理指導を行っている薬局に限り、高い点数が算定されるよう、適用要件の厳格化が図られる方向性だ。

長期処方については、処方日数に関する現状やルールについて検討する。また、新医薬品の処方日数制限について、対応できる医療機関が限られている場合に負担が大きいことについて、どう対応するかといったことが論点となっている。

高齢者への多剤処方に関しては、医療機関において、または医療機関と薬局が連携して、多種類の服薬を行っている患者の処方薬剤を減少させる取り組みを行い、処方薬剤数が減少した場合について評価する方向性だ。

残薬については、処方箋様式に残薬調整の可否に係る医師の指示欄を設けることとしてはどうかといった案が出ている。

分割調剤等については、長期処方等に関して、長期保存が困難な場合や後発医薬品を初めて使用する場合以外であっても、処方時に、患者の同意の下で医師が指示した場合には、薬局で分割調剤をできるようにすることを検討してはどうか。新薬の処方日数制限についてどのように考えるか。また、安全性を確保するための方策として、患者の同意の下で医師の指示に基づいて分割調剤を行う場合には、薬局の薬剤師が患者の服薬状況や副作用の状況等について把握し処方医と情報共有することを前提として、新薬の処方日数制限を緩和する方向性である。

後発医薬品の使用促進に係る論点としては、新たな後発医薬品の数量シェア目標について、まず平成29年央に70%と設定されていることから、薬局における後発医薬品調剤体制加算及び医療機関における後発医薬品使用体制加算の算定要件を見直すこととしてはどうか。併せて、入院における後発医薬品使用体制加算についても、後発医薬品の採用割合に関する指標を新指標に改めることとしてはどうか。また、特定の医療機関からの処方箋集中率が多い薬局の備蓄状況等を踏まえ、このような薬局の後発医薬品調剤体制加算をどのように考えるか。院内処方を実施している場合についても、後発医薬品の使用促進に関する取組を評価することとしてはどうか。処方せん料については、一般名処方の場合とそれ以外の場合の評価の差が広がるよう見直すとともに、一般名処方加算を算定する際には、1剤だけではなく、後発医薬品の存在する全ての医薬品について一般名処方を行うこととしてはどうか。後発医薬品の銘柄を指定し変更不可として処方する場合には、処方せんに理由の記載を求めることについてどう考えるかといったことが論点となっている。

在宅薬剤管理に関しては、訪問薬剤管理指導業務について、在宅における薬剤師の減薬の取り組みを評価してはどうか。在宅患者訪問薬剤管理指導が薬剤師1人に対して1日に5回と制限されていることについて、曜日ごとに訪問回数が異なる実態があるのであれば、1週間単位で制限を設けることで、提供する在宅業務の質を確保することとしてはどうか。患者が夫婦の場合であっても1人目から同一建物居住者の点数を算定することについて見直してはどうか。また、介護施設における薬剤の管理が課題となっていることについて、薬剤師による持参薬整理や薬剤の管理等の取り組みを評価してはどうかといった論点が挙げられている。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

平成28年度診療報酬改定における保険薬局・薬剤師の方向性

政府は、平成28年度診療報酬改定・薬価改定等の改定率を、本体を引き下げる方向で調整に入った。

平成28年度の社会保障関係費の自然増は、今年8月末時点で、6,700億円の増となっている。制度の持続可能性を確保するためには、薬価調査や医療経済実態調査の結果も踏まえつつ、市場価格を反映した薬価改定に加え、診療報酬本体のマイナス改定等の実現により、確実に高齢化による増加分の範囲内である5,000億円弱にしていく構えだ。

今改定では「超高齢社会における地域包括ケアシステムと効率的で質の高い医療提供体制の構築」を目指す。高齢化の進展に伴い疾病構造が変化していく中で、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換が必要である。また、我が国の医療制度は、人口減少の中での地域医療の確保、少子化への対応、医療保険制度の持続可能性の確保といった様々な課題に直面している。こうした問題に対応するためには、地域の実情も考慮しつつ、平成26 年度に設置された地域医療介護総合確保基金をはじめ、診療報酬、予防・健康づくり、更には介護保険制度も含め、それぞれの政策ツールの特性・限界等を踏まえた総合的な政策の構築が不可欠である。さらに、「保健医療2035」も踏まえ、「患者にとっての価値」を考慮した報酬体系を目指していくことが必要である。

地域包括ケアシステムと効率的で質の高い医療提供体制の構築では、「医療介護総合確保推進法」等の下で進められている病床機能の分化・強化、連携や医療・介護の一体的な基盤整備をさらに進め、平成30年度に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定など、2025 年を見据えた中長期の政策の流れの一環としての位置づけを踏まえ改定を行う。

保険薬局に関しては、患者の薬物療法の有効性・安全性確保のため、服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を評価する方向性である。それとともに、かかりつけ機能を発揮できていないいわゆる門前薬局の評価の適正化などを進める。また、在宅医療等で、医師・薬剤師の協力による取り組みを推進し、残薬や多剤・重複投与の削減を進める。これについては、医師と薬剤師の連携が非常に重要である。

地域包括ケアシステムの構築の中で、保険薬局や薬剤師には、調剤や医薬品供給等を通じて、公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康的な生活を確保する役割、在宅医療や多職種連携等への取り組み、残薬や多剤・重複投与の削減等が求められている。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

医療政策の動向

平成26年度の総国民医療費は、実績見込みで40.8兆円。うち、35.6%にあたる14.5兆円が後期高齢者の医療費である。近年の医療費の伸び率を要因分解すると、「高齢化」で1.5%前後の伸び率となっている。

2025年には団塊の世代が75歳以上となり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる。今後、高齢化が進むと医療や介護のニーズがますます増加すると思われるが、現在の我が国の医療・介護サービスの提供体制のままでは十分に対応できないと見込まれている。また、高齢化の進展には地域差があり、今後、首都圏をはじめとする都市部を中心に、高齢者数が増加することが予想される。このため、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保されるいわゆる地域包括ケアシステムの構築が不可欠である。

平成30年度に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定に向け、医療機能の分化・連携と、地域包括ケアシステムの構築を一体的に推進する。改正医療法では、病床機能報告と地域医療ビジョンの策定を行い、改正介護保険法では、第6期介護保険事業(支援)計画に位置付けた施策を実施していく。

これまでの保健医療は、量の拡大、インプット中心、行政による規制、キュア中心、発散という形だったが、今後は、今年6月に公表された「保健医療2035」に基づき、2035年の社会と経済の変化に対応するため、質の改善、患者の価値中心、当事者による規律、ケア中心、統合された保険医療の姿にしていかなければならない。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

平成26年度診療報酬改定の振り返り

平成26年度診療報酬改定では、全体の改定率をプラス0.1%とする方針となった。増税対応分(プラス1.36%)を差し引けば実質的にはマイナス1.26%の改定であった。また、平成26年度診療報酬改定の重点課題は「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実などを図る」ことであった。これに基づき、入院医療では、高度急性期と一般機能を担う病床の機能分化と機能に合わせた評価、長期療養患者の受け皿の確保等、急性期後・回復期の病床の充実と機能に応じた評価等が行われました。

また、外来医療では、診療所や中小病院における主治医機能の評価、紹介率・逆紹介率の低い大病院における処方料等の適正化が行われました。

在宅医療では、在宅医療を担う医療機関の確保と質の高い在宅医療の推進に係る評価、医療機関相互の連携や医療・介護の連携の評価が行われました。

調剤報酬では非常に厳しい改定が行われました。

例えば、妥結率が低い保険薬局等の適正化や、お薬手帳を使わない場合の薬剤服用歴管理指導料の創設、在宅患者訪問薬剤管理指導の評価の見直し、後発医薬品調剤体制加算の見直しなどが行われました。

在宅患者訪問薬剤管理指導の評価では、一般的な戸建ての住宅への訪問の評価は引き上げて、一方で共同住宅訪問は引き下げという措置がとられた。具体的には、在宅患者訪問薬剤管理指導料が、同一建物居住者以外の場合には従来の500点から650点に引き上げられている。一方で同一建物居住者の場合は従来の350点から300点へ引き下げとなった。この両方を合わせて患者1人につき、月に4回(ただし、末期の方や中心静脈栄養法の対象者については週2回かつ月8回)まで算定でき、さらに保険薬剤師1人につき1日5回に限り算定するという要件となった

また、後発医薬品調剤体制加算については非常に厳しい改定となり、従来の3段階から2段階の評価となり、これまでの基準でいう22%が廃止になった。残り2つの基準が新計算方式になり、「後発医薬品調剤体制加算1」の場合、規格単位数量での後発医薬品割合55%以上、「後発医薬品調剤体制加算2」の場合、65%以上が条件となり、後発医薬品調剤体制加算1は18点で、後発医薬品調剤体制加算2は22点という点数となった。なお、後発医薬品のある先発品及び後発医薬品を合算した規格単位数量の割合が50%以上である必要があるとされた。

また、基準調剤加算に、かかりつけ薬局としての機能が求められ、「患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供していること」といった要件が盛り込まれることとなった。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革

診療報酬、薬価改定については、2016年度の改定に加え、2017年度に消費税率が予定通り10%に引き上げられると、現行の課税関係(非課税取扱い)に変更がない場合には、課税仕入れに係る消費税増への対応が必要となる。その際、2017年度度予算においても薬価調査を前年に行い、新たな薬価基準に改定した上で、消費税率引上げへの対応を適切に措置する構えである。薬価調査については、市場価格の調査に伴って既存薬価の引下げが行われることになるが、これについては、市場実勢価格の反映に過ぎず、診療報酬本体の財源とならない。薬価改定については、調査・改定に係るコストにも適切に配慮しつつ、他の統計に与えている影響や市場価格形成の状況を勘案して、市場実勢価格を適切に反映できるよう、薬価調査・薬価改定の在り方について、診療報酬本体への影響にも留意しつつ、その頻度を含めて検討するとしている。また、生活習慣病治療薬等について、費用面も含めた処方の在り方を適正化するとしている。

調剤報酬に関しては、医薬分業の進展の影響を除いても伸びが大きく、院内処方と院外処方の報酬の水準の違いを含め、保険薬局が果たしている機能に照らして調剤技術料が適正かどうか、保険薬局の収益率等も踏まえて、その見直しを行うとしている。

2015年10月9日に公表された「経済・財政一体改革における社会保障の改革検討項目」では、「医療・介護提供体制の適正化」、「インセンティブ改革」、「公的サービスの産業化」、「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」、「薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革」、「年金」、「生活保護」の7つの主要分野に関するものが計44項目あげられており、検討実施に係る2020年度までの改革工程表を策定することとされている。この内10項目が「薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革」である。「薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革」の10項目は以下の通りである。

  • 後発医薬品に係る数量シェアの目標達成に向けて安定供給、信頼性の向上、情報提供の充実、診療報酬上の措置など必要な追加的措置を講じる。
  • 後発医薬品の価格算定ルールの見直しを検討
  • 後発医薬品の価格等を踏まえた特許の切れた先発医薬品の保険制度による評価の仕組みや在り方等の検討
  • 基礎的な医薬品の安定供給、創薬に係るイノベーションの推進、真に有効な新薬の適正な評価等を通じた医薬品産業の国際競争力強化に向けた必要な措置の検討
  • 市場実勢価格を踏まえた薬価の適正化
  • 薬価改定の在り方について、国民負担の抑制につながるよう、2018年度までの改定実績も踏まえ、その頻度を含め検討
  • 適切な市場価格の形成に向けた医薬品の流通改善
  • 医療機器の流通改善及び保険償還価格の適正化を検討
  • かかりつけ薬局推進のための薬局全体の改革の検討、薬剤師による効果的な投薬・残薬管理や地域包括ケアへの参画を目指す
  • 平成28年度診療報酬改定において、保険薬局の収益状況を踏まえつつ、医薬分業の下での調剤技術料・薬学管理料の妥当性、保険薬局の果たしている役割について検証し、調剤報酬について、服薬管理や在宅医療等への貢献度による評価や適正化、患者本意の医薬分業の実現に向けた見直し
  • 診療報酬改定における前回改定の結果・保険医療費への影響の検証の実施とその結果の反映及び改定水準や内容に係る国民への分かりやすい形での説明

検討事項の主要分野は各改革フェーズに分類されており、「薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革」の10項目は、「フェーズC:平成28年度予算案関連の項目(見込みを含む)」と、「フェーズD:検討時期・実施時期を今後検討し、明らかにしていく項目」に分類されている。つまり、年末までの予算編成過程で決定する2016年度診療報酬・薬価改定にあわせて、診療報酬改定に関連する制度改革の在り方を具体化していく考えだ。これらの項目の改革の方向性や、検討・実施時期、KPIの在り方については、後日議論される方向性である。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

社会保障改革の基本方針

2015年10月9日、財務省は、2020年度までの財政健全化計画の期間中に実施すべき社会保障制度改革案を固めた。

この背景には、人口の高齢化による社会保障費の急増、医療の高度化など様々な要因がある。

増大していく公的社会保障の給付について、効率化・重点化のための改革を行い、経済再生の取組による社会保障財源の増収と併せ、少なくとも、社会保障における次世代への負担の先送りを拡大させないようにする構えだ。

これまで、社会保障分野については、現政権において、社会保障サービスの質を維持しつつ、いわゆる「自然増」のうち、高齢化以外の要因による増分を対象として、歳出改革を行ってきた。この結果、過去3年間の社会保障関係費の実質的な増加は、累計1.5兆円、毎年度0.5兆円程度のペースと、概ね「高齢化による伸び」相当の範囲内の増加に留まっている。したがって、今後もこれらの基調を2018年度まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む必要がある。つまり、今後3年間の「年金・医療等」の伸びを1.5兆円に抑える目安である。この点も含め、2020 年度に向けて、社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせ行う充実等に相当する水準におさめることを目指す。

この達成に向け、経済財政諮問会議が年末までにまとめる改革工程表に反映させ、必要な法改正を進めたい考えだ。

国民皆保険維持における公的保険給付範囲の見直し

過去3年間の社会保障関係費は、経済雇用情勢の改善等に加え、厳しい制度改正を行うことにより、年平均0.5兆円程度の伸びに抑制されてきた。今後も、2020 年度に向けて、社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせ行う充実等に相当する水準におさめることを目指す方針である。

このためにも、社会保障関係費の伸びの抑制に関する方針において国民皆保険を維持するための医療・介護を中心とした制度改革・効率化等の柱とそれに沿った具体的方策のメニューを盛り込み、その上で、年末に、予算編成過程の中で、社会保障給付の動向等も見ながら、制度改革・効率化等の具体的内容とその工程表を策定する必要がある。

国民皆保険を維持し、限られた医療・介護資源の中で疾病等に伴う大きなリスクに有効に対応する公的保険の本来機能に立ち戻り、同一効果を有する後発医薬品がある先発医薬品や、個人が日常生活で通常負担するようなサービス・金額について、公的保険給付の範囲を見直し、全体として公的保険を真に必要な場合に重点化していく考えだ。

後発医薬品の使用促進については、近年使用率の増加速度が倍増し、傾向としては現在目標としている2017年度内 60%達成のペースを上回っている。まず、第1段階として、この傾向が継続するよう、目標を2017年度内 80%へ引き上げる構えだ。現在、国会で審議中の医療保険制度改革法案においては、後発医薬品の使用促進を後期高齢者支援金の加減算制度や国民健康保険の医療費適正化支援制度等において強力に推進することとしており、この観点からも、現在の使用率の増加速度の傾向を維持する目標としなければならない。

一方、現行制度のままでは先発医薬品価格の高止まりはなかなか解消されない。第2段階として、80%の目標を達成する過程を通じて生産体制や国民の意識等が整うと見込まれる2018年度から、後発医薬品がある先発医薬品については、公的保険による給付額を後発医薬品の価格までとする制度に改革する方針である。

また、リスクの大きさや QOL/ADL等への影響度に応じた保険給付範囲の見直しとして、市販品類似薬等に係る保険給付の見直しがあがっている。医療用医薬品については、使用実績があって、副作用の発生状況等からみて市販品としても適切であると認められれば、市販が認められる。これらについては、公平性の観点、セルフメディケーション推進の観点から、保険償還率をその他の医薬品よりも低くするとしている。さらに、市販品として定着した OTC類似医薬品(湿布、目薬、ビタミン剤、うがい薬やいわゆる漢方薬などのうち長らく市販品として定着した銘柄)については公的保険から完全に除外するとしている。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

社会保障における課題

日本の社会保障制度は、社会保険方式をとりながら、高齢者向け給付を中心に、全体として4割程度を公費負担に依存する一方、現役世代の減少により保険料の伸びが低下する財源構造となっている。このため、高齢化に伴い社会保障給付が増加すると、負担増は必然的に公費に傾斜する。にもかかわらず、この増大する公費負担部分の財源を確保できていない。その結果、将来世代に負担を先送りしている状態になっており、給付と負担のバランスを回復することが急務となっている。

社会保障給付費に関しては、今後も、医療・介護分野における増加が見込まれ、特に医療に係る公費負担が顕著に増加すると見込まれている。年金に関しては、概ね100年後において、年金の給付に支障が生じないようにするために必要な積立金を保有しつつ、年金財政の均衡を保つことが可能となるよう、年金給付水準を自動調整する仕組みみを十分に機能させれば、経済と整合的な伸びとなるとされている。今後とも国民皆保険を維持するためには、医療・介護分野を中心とした制度改革が不可欠である。

改革の時間軸は、「団塊の世代」が75歳の仲間入りを始める2020年がカギとなる。75歳以上になると、1人当たりの医療・介護の費用が大きく増加する。また、75歳以上になると介護の1人当たり給付費も増加するため、国庫負担で見た1人当たりのコストはそれぞれ約4倍、約9倍に増加する。

社会保障関係費の伸び、いわゆる「自然増」には、例えば、医療でみると、公的保険医療費は、「高齢化要因」の他、年齢層の1人当たりの医療費単価の増加、さらに受療率の高まりによって年齢別1人当たり医療費なども加わり、一方的に増大する傾向がある。したがって、やむを得ない「自然増」は「高齢化による伸び」に相当する範囲だけと言える。

社会保障分野においても、国民皆保険を維持するための制度改革や効率化等にあわせて取り組むことにより、社会保障費全体の伸びを「高齢化による伸び」に相当する範囲内にする必要がある。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

財政の長期推計

2015年10月9日、財務省より、「我が国の財政に関する長期推計(改訂版)」が公表された。

我が国の会計は、一般会計と特別会計からなっている。国民が納める税金は、その大半が一般会計に経理され、その使い道が決定される。税金の使い道を見てみると、一般会計歳出のうち、社会保障関係費が約3割を占めている。これに、地方交付税交付金等、国債費を合わせると、全体の7割を超える。一方、歳入面を見ると、国民が納める税金は必要な予算の半分程度で、4割を借金(公債金収入)でまかなっている状況である。

国の財政は、歳出が税収等を上回る財政赤字の状況が続いている。歳出と税収等の差額を借金で埋め合わせた結果、普通国債残高は年々増加し、2015年度末で807兆円程度に上る見込みだ。この増加の背景には、景気低迷による税収の減少や景気対策等の減税により歳入は減少した一方で、公共事業をはじめとした景気対策や高齢化等による社会保障関係費の増大等により歳出が伸び続けたことなどがある。

政府債務残高がかさめば、債務残高対 GDP 比の発散すなわち財政破綻を免れられたとしても、巨額の利払い費を他の財政支出よりも優先して国民からの税金を使って支払わなければならない。したがって、政府債務残高を対GDP比で見ていかに減らしていくかも、現時点から視野に入れて財政運営をしていかなければならない。

そこで、今年6月に閣議決定した「経済・財政再生計画」において、2020年度PB黒字化実現、そのためのPB赤字の対GDP比の半減、また、その後の債務残高対 GDP 比の安定的な引下げとの財政健全化目標が掲げられたのである。

今回示された「我が国の財政に関する長期推計(改訂版)」は、2014年の財政制度等審議会で示された必要な財政収支改善幅の改定版で、どの程度財政収支を改善すれば債務残高対GDP比を着実に引き下げられるかを明らかにしたものである。

分析方法については、欧州委員会の分析方法にならい、高齢化による社会保障給付等(「年齢関係支出」)の増加が将来の財政に与える影響を分析するため、2060年度までの長期の財政の姿を展望し、2060年度以降に債務残高対GDP比を安定させるために、2020年度時点で必要な基礎的財政収支(PB)改善幅を試算している。

分析結果を見てみると、2021年度から2060年度までの間、収支改善を行わず、現行の制度・施策を前提とした場合、高齢化に伴う「年齢関係支出」の増加や金利・成長率格差により、一般政府の債務残高対GDP比は急速に膨張(2030年代には300%、2050年代には500%と上昇し続ける)し、財政は成り立たなくなると推計された。

2020年度までに国・地方PBが黒字化しない場合、債務残高対GDP比を安定させるためには、2020年度時点でPB赤字解消プラス少子高齢化に伴う歳出増に対応するために必要な、社会保障基金を含む一般政府ベースでの収支改善幅は対GDP比6.62%~6.75%(金利・成長率格差に伴い必要となる収支改善幅を加えると、9.53%~11.12%)。2020年度までに国・地方PBを黒字化した場合は、債務残高対GDP比を安定させるために必要な2020年度時点での収支改善幅は縮小。ただし、国・地方のPB黒字化は、財政健全化の一里塚に過ぎず、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくためには、社会保障基金を含む一般政府ベースでなお対GDP比5.34%~5.47%の改善が必要(金利・成長率格差に伴い必要となる収支改善幅を加えると、8.21%~9.78%)となった。

今回の2020年度までの財政健全化には、消費税率を10%超にした場合の推計は含まれておらず、社会保障費等の歳出抑制が財政健全化策の中心となっている。2020年度の財政健全化目標の達成に向けた早期の収支改善努力がいかに重要であるかが示された結果となった。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

改正医療法における地域医療連携推進法人制度の創設

2015年9月16日、地域医療連携推進法人制度の創設などが盛り込まれた改正医療法が参院本会議で可決、成立した。

地域医療連携推進法人制度は、今後の高齢化や人口減に備え、地域医療構想を達成するためのひとつの選択肢として設けられた制度で、複数の医療法人や社会福祉法人等を社員総会等を通じて統括し、一体的な経営を可能とする。

この制度の創設により、地域における良質的かつ適切な医療の提供、医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進、医療法人等の間の競合を避け、地域における医療・介護サービスのネットワーク化を図ることなどが狙いだ。

複数の医療法人がグループ化すれば、病床や診療科の設定、医療機器の設置、人事、医療事務、仕入れ等を統合して行うことができ、医療資源の適正な配置・効率的な活用を期待することができる。

地域医療連携推進法人には、3つのタイプが考えられる。自治体中心型、中核病院中心型、地域共同設立型だ。

自治体中心型は、都道府県や市町村がその区域内の医療法人、社会福祉法人等に呼びかけて創設する地域医療連携推進法人のことである。自治体が中心となって、医療法人等の横の連携を高めることで、地域医療構想、医療計画、介護保険事業計画等と整合性を持ちつつ、病床機能の再編、地域包括ケアシステムの構築等を円滑に進めることが期待される。

中核病院中心型は、地域の社会医療法人、大学付属病院を経営する法人等急性期医療等を担う中核的な医療法人等が、回復期や在宅医療を担う医療法人や、介護を担う社会福祉法人に呼びかけて創設する地域医療連携推進法人のことだ。地域の中核病院が中心となることで、回復期や在宅医療の基盤が弱い場合は、中核病院の信用力を元に資金を確保してそこに投資する等、地域の効率的な医療提供体制を構築することが期待される。

地域共同設立型は、都道府県医師会や地区医師会が中心となって、その区域内の医療法人、社会福祉法人等に呼びかけて創設する地域医療連携推進法人のことだ。医師会が中心となることで、現在、医師会が中心的に進めている在宅医療・介護の連携の更なる促進や、共同購入や医療機器の共同使用等による中小医療法人の経営の効率化、経営の厳しい医療法人の支援や受け皿としての機能が期待される。

地域医療連携推進法人になるには、都道府県知事の認定が必要だ。対象となるのは、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人である。

参加法人の範囲については、事業地域範囲内における病院、診療所又は介護老人保健施設を開設する複数の医療法人その他の非営利法人を参加法人とすることを必須とし、事業地域範囲内で介護事業その他地域包括ケアの推進に資する事業のみを行う非営利法人についても参加法人とすることができる。

主な認定基準は、地域医療構想区域を考慮して病院等の業務の連携を推進する区域を定めていること。地域の関係者等を構成員とする評議会が、意見を述べることができるものと定めていること。参加法人の予算、事業計画等の重要事項について、地域医療連携推進法人の意見を少なくとも求めるものと定めていること等である。都道府県知事の認定は、地域医療構想との整合性に配慮するとともに、都道府県医療審議会の意見を聴いて行う。

地域医療連携推進法人の主な業務は統一的な連携推進方針の決定だ。統一的な連携推進方針の内容は、統一的な連携推進方針(仮称)の内容としては、医療機関相互間の機能分化及び業務連携に関する事項は必須とする。また、介護事業その他地域包括ケアの推進に資する事業に関する事項を記載することも可能だ。共通業務・管理業務等に関する事項も含め、記載事項は各地域医療連携推進法人が決定する。その際、地域医療構想との整合性を確保する。

地域医療連携推進法人が創設され浸透した場合、グループ内の病床機能の分化及び連携が促進され、病床の再編、医師の再配置、急性期病院から回復期病院への機能転換、在宅医療機関の新設を図ることができると考えられる。また、統一的な連携推進方針の決定には、患者・要介護者情報の一元化や人材教育、キャリアパスの構築、医療機器の共同利用、救急患者・妊婦の円滑な受け入れ、退院支援・退院調整の円滑化、在宅医療機関・介護事業所の連携等の項目が盛り込まれており、これらをより円滑に行うことができるようになると見込まれる。

また、複数の病院(医療法人等)を統括し、一体的な経営を行うことにより、経営効率の向上を図るとともに、地域医療・地域包括ケアの充実を推進し、地方創生につなげる。

具体的には、グループ病院の一体的経営により、経営効率を向上させ、ブランド力による価格交渉力の獲得・共同物品購入によるスケールメリットや在宅医療、在宅介護等に新たに進出、庶務業務の統一によるコスト削減を図る。

グループ病院の特長を活かした地域医療・地域包括ケアの推進では、グループ病院・介護事業所の相談・紹介、患者・要介護者情報の一元的把握、統一カルテ等のシステムによる重複した検査の省略、救急受入ルールの策定・要介護者急変時の円滑な対応、医師・看護師・介護福祉士等のキャリアパスの構築による定着率の向上、人事の一元化による過疎地域への医師派遣の実施等を図る。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

かかりつけ薬局の基本的方針②

健康サポート薬局には、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を備えた上で、①地域における連携体制の構築、②薬剤師の資質確保、③薬局の設備、④薬局における表示、⑤要指導医薬品等の取扱い、⑥開局時間、⑦健康相談・健康サポートに設けられた各基準を満たすことが求められる。

①地域における連携体制の構築では、医療機関への受診勧奨やその他の関係機関への紹介、地域における健康の維持・増進のための各種事業への参加に関する基準が設けられている。

②薬剤師の資質確保では、健康サポートに取り組む薬剤師の研修と人的要件について、一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康の維持・増進に関する相談、適切な専門職種や関係機関への紹介等に関する研修を修了し、一定の実務経験を有する薬剤師が常駐していることとされた。

③薬局の設備では、個人情報に配慮した相談スペースの確保として、薬局内に、パーテーション等で区切られた相談窓口を設置していることという基準が設けられた。

④薬局における表示では、健康サポート機能を有する薬局であることの表示に関して、健康サポート機能を有する薬局であることや、一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康の維持・増進に関する相談を積極的に行っている旨を薬局の外側の見えやすい場所に掲示することや、薬局で実施している健康サポートの具体的な内容について、薬局内で分かりやすく提示することといった要件が設けられている。

⑤要指導医薬品等の取扱いについては、要指導医薬品等、衛生材料、介護用品等について、利用者自らが適切に選択できるよう供給機能や助言の体制を有していること。その際、かかりつけ医との適切な連携や受診の妨げとならないよう、適正な運営を行っていること。また、要指導医薬品等や健康食品等に関する相談を受けた場合には、利用者の状況や要指導医薬品等や健康食品等の特性を十分に踏まえ、専門的知識に基づき説明することといった要件が設けられている。

⑥開局時間に関しては、平日の開局日には連続して開局(午前8時から午後7時までの時間帯に8時間以上が望ましい)していること、さらに土日どちらかにも一定時間開局していることといった要件が設けられた。

⑦健康相談・健康サポートについては、健康の維持・増進に関する相談対応と記録の作成、健康サポートに関する具体的な取組の実施、健康の維持・増進に関するポスター掲示、パンフレット配布に関する要件がある。

今後薬局には、薬局内業務の他に、在宅患者への対応、かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化、地域住民の健康サポートといった取り組みが求められる。

健康サポート機能を有する薬局は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく薬局機能情報提供制度を活用して地域住民に公表される。また、都道府県のホームページでも公表され、その際、住民にわかりやすく情報を提供するため、健康サポート機能を有する薬局の定義・基準の説明、健康サポート機能を有する薬局で行う健康相談・健康サポートのサービス内容もあわせて紹介する。また、健康サポート機能を有する薬局を検索できるようにするとしている。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

かかりつけ薬局の基本的方針①

2015年9月24日、厚生労働省は、健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会で「健康サポート薬局のあり方について」を公表した。この報告書には、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能の他に、健康サポート機能を有する薬局の機能に関する要件などが示されている。

今後、高齢化が進む日本では、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が不可欠である。その中で、薬局・薬剤師には、調剤や医薬品供給等を通じて、公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康な生活を確保する役割が求められている。しかし、現在の薬局・薬剤師は、患者の服薬情報の一元的把握とそれに基づく薬学的管理・指導などの機能が必ずしも発揮できていないなど患者本位の医薬分業になっていない。

患者に医薬分業のメリットを十分に感じてもらうには、安心して立ち寄りやすい身近な存在として、地域包括ケアシステムの中で、多職種と連携して、地域住民の相談役の一つとしての役割を果たすかかりつけ薬剤師・薬局が必要である。日頃から患者と継続的に関わることで信頼関係が構築され、薬のことについて、いつでも気軽に相談できるかかりつけ薬剤師がいることが重要である。

健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会では、かかりつけ薬剤師・薬局が備えるべき機能を以下の3点とした。

① 服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導

② 24時間対応、在宅対応

③ かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化

①の服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導では以下の6点が求められる。

  • 患者がその薬局においてかかりつけ薬剤師を適切に選択することができるような業務運営体制を整備していること。
  • 患者がかかっている全ての医療機関を把握して、一般用医薬品等を含めた服薬情報等を一元的・継続的に把握するよう取り組み、薬歴に適切に記録していること。
  • 残薬管理や確実な服用につながる指導を含め、懇切丁寧な服薬指導や副作用等のフォローアップを実施するよう取り組むこと。
  • 患者に対し、お薬手帳の意義・役割を説明し、その活用を促していること。また、一人の患者が複数のお薬手帳を所持している場合には、一冊化・集約化に努めること。
  • 自局以外をかかりつけ薬局としている患者に薬剤を交付することになった場合には、 患者の意向を確認した上で、かかりつけ薬剤師・薬局における服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が可能となるよう、適切に協力することが望ましいこと。
  • かかりつけ薬剤師・薬局を持たない患者に対し、薬剤師が調剤や医薬品供給等を行う際の基本的な役割(薬歴管理、疑義照会、服薬指導、残薬管理等)の周知に加えて、かかりつけ薬剤師・薬局の意義・役割や適切な選び方を説明し、かかりつけ薬剤師・薬局を選ぶよう促していること。

②の24時間対応、在宅対応で求められる要件は、

  • 開局時間外であってもいつでも、かかりつけ薬剤師(かかりつけ薬剤師が対応できない時間帯がある場合にはかかりつけ薬剤師と適切に情報共有している薬剤師を含む。)が患者からの相談等(必要に応じ調剤を行うことを含む。)に対応する体制を整備していること。
  • 在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績があること。

の2点である。

③のかかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化では、

  • 医療機関に対して、患者の情報に基づいて、疑義照会を行い、必要に応じ、副作用・服薬情報のフィードバック、それに基づく処方提案に適切に取り組むこと。
  • かかりつけ薬剤師・薬局として、地域住民からの一般用医薬品等の使用に関する相談や健康に関する相談に適切に対応し、そのやり取りを通じて、必要に応じ医療機関への受診勧奨を行うこと。
  • 地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションなどの地域包括ケアの一翼を担う多職種と連携体制を構築していること。

といった要件が求められる。

上記のかかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を備えた薬局のうち、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局が健康サポート機能を有する薬局となる。

この地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援とは、医薬品等の安全かつ適正な使用に関する助言を行うこと、健康の維持・増進に関する相談を幅広く受け付け、必要に応じ、かかりつけ医を始め適切な専門職種や関係機関に紹介すること、地域の薬局の中で率先して地域住民の健康サポートを積極的かつ具体的に実施すること、地域の薬局への情報発信、取組支援等を行うといった積極的な取組を実施することなどである。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

かかりつけ薬局の要件について

かかりつけ薬局の考え方と算定要件はイコールではありえない。健康保険になじまないものを要件として決めることは基本的にはしない。従来分かっていることで言えば、健康支援薬局の要件のようなものをほぼ近い形でかかりつけ薬局の考え方として恐らく9月末には発表される。例えば、OTCを扱っていることが健康保険上の要件になり得るかどうかといったことになるが、これは極めて要件になりにくい。そういったことで言えば、疾病予防や健康増進に取り組んでいるかといったことも、健康保険法そのものが予防給付を認めていないので、保険給付の対象としていないものを要件にすることはとても難しい。自分の薬局が地域住民や患者のためにどういった方向性に進んでいきたいのかという考え方と、保険の点数とは区別して考えるべきである。算定要件が発表されたら、算定できるよう努力し、また、その報酬で地域住民や患者のために保険外のサービスを提供することが大切である。

今回は門前調剤チェーンに着目して議論が進められている。内部留保の問題を解決するには2つの方法がある。薬歴等のペナルティーで点数を下げる方法と、算定要件を強化して点数は下げない方法である。算定要件を強化して点数を下げない方法を取れば、門前調剤チェーン薬局が努力するのびしろが増える。現在厚生労働省は、算定要件を強化して点数を下げない方法を取ろうとしている。8月12日に日本薬剤師会にそうした提案をしていて、まだ返事は来ていない状況である。例えば、500局ある門前調剤チェーンに対して、経済的に負担になるような要件を付けたとする。すると、門前調剤チェーンは経費が増えるので、今のような経営効率では経営ができなくなる。なので実際には点数は下げない。しかし要件を満たさない門前調剤チェーンの調剤基本料は現在の半分にしようという提案が出ている。ペナルティーがあるのは薬歴のみで、門前薬局に対してペナルティーを与えるとは述べていない。国の提案は、管理薬剤師の上に、例えば5店舗に1店舗、統括管理薬剤師を設置するというものである。これは、薬事法は改正せずに健康保険法の算定要件としての施設基準とするとしている。統括管理薬剤師を設置した薬局に関しては点数の変更は行わない。設置しない薬局に対しては大幅に点数を下げるとしている。なお、管理薬剤師と統括管理薬剤師は兼任できないものとする。しかし、日本薬剤師会がこれを反対すれば、11月の議論には上らない。

後発医薬品については、医師法に基づく処方せんの記載法用量や様式等を改めて見直し、次期改定で極めて変更不可処方せんが書きにくいようにするという方法を取ることになっている。しかし、医師の権限に制限するような方法はいかがなものかといった意見もあることから、結論が出るのが来年ではなく再来年になる可能性がある。しかし、2017年末の80%の目標までにはこの方法が不可欠だということで、日本医師会も合意して動いていると見込まれる。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

選ばれる薬局になるには~2

健康増進、重症化予防、産業化については、2割の患者が7~8割の医療資源を消費している現状がある。そこで透析を受けている患者が注目された。透析には年間600万円ほどの費用がかかるといわれているが、実際は他にも様々な疾患を併発していることが多く、その場合、年間1千万円程かかるとされている。現在は透析の技術が向上し、患者も長生きになり、その分透析にかかる費用も継続されることになる。喜ばしいことではあるが、財政的には厳しい状況である。そこで透析に至らせないことに薬局が関与するという課題ができた。今後はアドヒアランスを高める指導とともに、透析に至らせない指導をすることが重要である。また、生活習慣病の患者にも入院・再入院をさせない指導に努める必要がある。こうした研修や教育を行い薬局が努力することで、患者の人生や国の財政に対して貢献することができる。

重症化予防、医療機関の積極的な関与に関しては、自己健康診断サービスの拠点となる薬局においては、提供可能なサービスを広げ、患者の健康増進、疾病予防、重症化予防に努めることとされている。現在、薬局では、検体測定室が容認されており、地域の健康チェックの場として薬局が最も適しているとされている。現在は1千店舗ほどが検体測定室の機能を有しているが、今後、5万7千店舗の薬局すべてが、ごく普通に検体測定室の機能を有していけば、国民の薬局に対するイメージも変わっていくはずである。

重症化予防に関しては、広島県呉市の事例を紹介する。呉市は糖尿病の重症化予防プログラムとして、指導委託先にDPPヘルスパートナーズという会社に業務を委託して、DPPヘルスパートナーズの看護師や管理栄養士が患者に指導する形をとっている。そして、それをかかりつけ医に報告するというスキームである。患者への指導では、服薬や残薬の確認、ジェネリックへの変更相談応需などを有料で行っている。

今後、薬局が保険調剤以外の分野に業務を広げていこうとした場合、保険外の健康相談やダイエット指導、介護旅行サービス、栄養管理などの相談窓口として活躍することができると考えられます。

かかりつけ薬局になるためには、かかりつけ医と連携した服薬管理、処方せんの一元化・継続的な管理、患者情報の一元的な管理、24時間対応などを行うのはもちろんのこと、利用者が満足を実感できるサービス(健康サポートなど)を積極的に行い、魅力ある選ばれる薬局になる必要がある。算定要件を満たしていても、満足を実感できるサービスを提供しなければ患者に選ばれる薬局にはなれない。今後大切なのは、国の評価ではなく、実体としての機能を有する薬局に変わっていくことである。そのキーワードが「予防・相談」である。

我が国の最大の期待は、国民を健康にして医療費を下げることである。そしてこれは、地域住民からかかりつけ薬局に選ばれる評価につながっている。

選ばれる薬局になるためには、従来通り公費領域で活躍することはもちろん、これからは公的保険外のサービス提供を新たに開拓していく必要があり、それが顧客満足へもつながる。厚生労働省も、今後薬局で差がつくポイントとすれば、健康づくりに貢献しているか否かであろうと見込んでいる。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

選ばれる薬局になるには~1

7月22日、中医協で次期調剤報酬の議論が始まった。議論では、医薬分業の効果は患者負担の増加に見合っているのかなどが議題となった。こうしたことから、薬局で働く薬剤師一人一人が「果たして医薬分業は国民のためになっているのか」ということを常に意識し、正確に現状を判断し、しっかりと足元を固めておかなければならない。現在、薬局は、これまでにない厳しい逆風と難題に直面している。

これまで薬局は、調剤報酬に関わる業務、薬歴記載、服薬指導、在宅訪問などを行ってきた。従来、薬局に求められる機能は、医薬品の適正な供給、備蓄に重きが置かれていた。しかし今後は、薬物療法・薬学的管理に関するものに移行していくと見込まれている。そこでまず取り組んだのが後発医薬品の使用促進、在宅医療である。こうしたことから、今後、薬剤師の業務が調剤室中心のものから、より患者に寄り添った業務に転換していくことがわかる。

上記で述べた医薬分業の問題などを解決するためには、今後薬局が、薬学的管理として、例えば、定期的な服薬状況、副作用等の確認、残薬の確認、残薬解消の取り組みなどを行う。また、健康情報拠点として、健康や介護、生活習慣全般に関する相談応需などを行い、健康づくり支援薬局として、利用者の健康づくりに貢献する。さらに副作用等の報告を行うことが重要となる。

実際にそうしたことを行うには、例えば服薬状況に関しては、薬剤師の中間介入研究(薬を患者に渡した後に薬剤師が電話などで介入し、服薬管理や残薬確認、副作用の確認などを行う)に取り組む。また、保険者と連携した取り組みを行う。副作用等の報告に関しては、副作用とまではいかない有害事象の収集、解析、報告をさらに積極的に行う必要がある。

5月27日、医療保険制度改革法が参院本会議で可決成立された。医療保険制度改革法で調剤報酬改定の他に薬局が注目すべきキーワードは「予防」である。財務省は「予防の取り組みは、国が画一的に予算措置や保険給付の対象とするよりも、保険者がそれぞれの判断で有効と考えられる予防の取り組みを推進する方が有利」と述べている。また、2015年6月に公表された骨太の方針でも、生活習慣病を中心とした疾病の予防、重症化予防、介護予防、健康づくり、適切な受療セルフメディケーションを推進するということが何度も記されている。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

2016年度診療報酬改定の動向~調剤薬局の今後の動向~2

2015年7月22日、2016年度診療報酬改定に向け、はじめて調剤報酬に関する議論が行われた。当議論では、

  • 検査、診断、治療、投薬についてワンストップサービスが必要
  • 院内処方と院外処方には、不合理な格差がある
  • 医薬分業のメリットが感じられない
  • 調剤報酬の伸びが大きすぎる
  • 体制を整えれば算定できる調剤報酬の加算は質を担保していない
  • 保険者や患者の負担増に見合う効果が不十分
  • 薬剤服用歴管理指導料は点数に見合う機能をはたしていない
  • 服薬管理は医師の役割

などが話し合われた。

保険薬局が注目すべきヒントは、③の医薬分業のメリットが感じられないという意見である。このことから、今後保険薬局は、保険薬局を利用する方々に医薬分業のメリットを感じていただける業務を行う必要があることがわかる。つまり、利用者に「薬局に来てよかったな」と思っていただくことが大切となってくる。

現在の議論では、薬価と調剤を下げて、医科と歯科は下げられないといった流れになっている。

8月、財務省は、医療費の自然増の3千億円は認めるが、それとは別に医療費を1兆円削減すると発表した。その内訳は薬価と調剤それぞれ5千億円となっている。薬価の5千億円は、通常の薬価改定1回で下げることができる。しかし、翌年から3回連続で改定が行われるため、1回の改定で5千億円を削減すると3回で1兆5千億円を削減してしまうことになり、製薬企業への負担が大きくなってしまう。そのため厚生労働省は薬価改定を3回改定で通常の2回分ほどの規模におさめようとしている。すると、薬価の方で1回分浮きが出ることになる。その1回分がどこに行くかとういう意味で調剤がますます厳しい状況になると予想されている。

地域包括ケアを構築していく上で、薬局や薬剤師が担う役割をしっかりと理解していれば、いくら厳しい改定をされても薬局が潰されることはない。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

2016年度診療報酬改定の動向~調剤薬局の今後の動向~1

現在行政では、財務省や各省庁が2016年度予算概算要求の大枠の話を進めている。9月になれば細かい予算の項目のやり取りがされるようになり、12月下旬ごろ閣議決定される。閣議決定されると1月の下旬に通常国会で議論が行われ、3月31日までに予算案として議論が終われば、翌年の4月からそれらが実行できる。

診療報酬改定や調剤報酬改定などは、国の予算事項なので、予算案を見れば上がるか下がるかがわかる。

調剤報酬の目的は2つある。1つは国民に薬局薬剤師がどのような仕事を行っているのかを示すため。もう1つは、薬局薬剤師が経済的に充実した上で、地域や患者一人一人に対して一生懸命サービスを提供できるようにするためである。

2016年度予算概算要求では調剤報酬や薬価について、

  • 薬価引き下げ分は改定財源としない
  • 後発医薬品使用促進による財源効果は改定財源にしない
  • 適正化、イノベーションの評価、後発医薬品の薬価

といった項目があがっている。例えば医薬品であれば、適正化はするがイノベーションの評価も行い報酬を上げるとしている。後発医薬品の薬価については、現状、実質2分類になっているものを将来的に1分類にし、さらに報酬を下げていくとしている。

調剤に関しては、

  • 門前調剤チェーンの適正化
  • かかりつけ薬局の推進と評価
  • 薬歴未記載などの一連の問題への対応
  • 後発医薬品の使用促進

といったことがあげられている。

門前調剤チェーンの点数の適正化については、少し前までは、大型門前薬局の調剤料の適正化となっていた。かかりつけ薬局の推進と評価については、かかりつけ薬局を育成するとして、現在かかりつけ薬局の定義づけしている最中である。また、かかりつけ薬局の推進と評価は調剤報酬でも行う。具体的には、かかりつけ薬局の施設基準を組み直し、そこに加算を付けるというやり方だ。薬歴については、点数を41点から10点程下げるか、点数はそのままに算定要件を厳格化して、現在90%の薬局で取ることができている加算を70%の薬局でしか取れないものにするかといった2つの選択肢がある。後発医薬品の使用促進については、2018年までに80%にし、薬局の調剤報酬上では85%の基準にするとしている。

4月27日、財務省主計局の当面の社会保障制度改革の基本方針では、医療・介護で1兆3千億円の財政効果を出すという目標が掲げられた。2016年度は介護報酬改定が行われないため、1兆3千億円の効果を医療で出すということになる。

そのための方策として、国民保険を維持するための制度改革、公的保険給付範囲の見直しで、2018年には受信時の定額負担金を増額したり、軽医療を給付外にしようといった案が出ている。また、医薬品の保険給付を後発医薬品の薬価までとするとの案もある。後発医薬品の使用促進については、現在は60%だが、2017年末までに80%にするといった目標が出ている。それが達成した2018年には、先発品の保険給付は後発品の薬価までにするということだ。例えば、100円の先発品があって、後発品が50円ならば、その差額の50円は換算から一部負担金以外に貰おうという提案である。もし、この薬を1日3回で30日分とすると大変な金額になる。さらに、後発医薬品の調剤体制加算の基準を現在の65%と55%から、後発品使用促進80%の進捗状況にあわせて、80%以上に引き上げるといった案も発表されている。以上のことから来年の改定では、大幅な基準の引き上げや、爆発的な後発医薬品の使用促進が見込まれる。

また、財務省主計局の当面の社会保障制度改革の基本方針には、サービス単価の抑制という案が記載されている。これは調剤技術料の抑制、特に処方せん1枚当たりの単価を抑制しようというものである。具体的には、院内技術料との格差を是正しようといったものだ。また、今年薬剤服用歴管理指導料の不正事案があったことから、これだけで1千億円を削減しようという目標を立てている。現在、薬剤服用歴管理指導料は2600億円程の財源を使っている。1千億円削減するということは、現在の41点から10点程点数を下げるということになる。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

2025年問題に向け、「地域住民が安心して暮らせる街づくリ」「在宅」「24時間対応」「地域包括ケア」

2025年には団塊の世代が75歳以上となり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる見込みだ。今後、ニーズが増加する医療や介護に対応するには、高度な急性期医療が必要な患者は、質の高い医療や手厚い看護が受けられ、リハビリが必要な患者は身近な地域でリハビリが受けられるようにする必要がある。同時に、退院後の生活を支える在宅医療や介護サービスを充実し、早期に在宅復帰や社会復帰ができるようにするとともに、生活支援や介護予防を充実させ、住み慣れた地域で長く暮らすことができるようにする必要がある。

以上のような医療提供体制を実現するためには、医療機能の分化・連携を強力に進めていくことが必須である。その改革の実現のためには、在宅など住み慣れた地域の中で患者などの生活を支える地域包括ケアシステムの構築が不可欠である。

地域包括ケアシステムの構築に向け、医療・介護提供体制の改革が進む中、2014年6月に、「医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備などに関する法律)が成立し、医療法や介護保険法などが改正された。また、2015年4月から「地域医療構想」の策定も開始された。この地域医療構想を2015年度以降、各都道府県が策定し、2025年のあるべき医療提供体制を整備し、地域包括ケアシステムの構築につなげていく。

医療・介護連携の推進では、地域医療介護総合確保基金による医療・介護提供体制改革や地域包括ケアの着実な推進、地域における医療・介護の連携強化の調査研究などが進められる。

地域医療介護総合確保基金による医療・介護提供体制改革では、地域における医療及び介護の総合的な確保のための事業を支援するため、都道府県に設置される医療介護総合確保推進法に基づく基金(地域医療介護総合確保基金)の財源を確保する。

地域包括ケアにおいては、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の着実な推進、生活支援サービスの基盤整備、低所得の高齢者などの住まい・生活支援の推進などが図られる。生活支援サービスの基盤整備については、今年度から介護保険制度の地域支援事業に位置づけた「生活支援コーディネーター」(ボランティアなどの生活支援の担い手の養成・発掘などの地域資源の開発やそのネットワーク化などを行う者)の配置を着実に進める。

2014年度診療報酬改定では、高度急性期・急性期、地域包括ケア、療養病床に在宅復帰率という条件が盛り込まれた。つまり、すべてのタイプの病棟において、在宅復帰率を評価するということである。

在宅復帰率要件の退院先や転院先が、自宅、回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟、在宅復帰機能強化加算を届出ている療養病床、居住系介護施設または在宅強化型介護老人保健施設と限定されているため、在宅復帰率が今後、地域連携に大きな影響を与えると考えられる。

今後、在宅復帰率が上がり在宅医療が進むと、地域に密着した医療が必要になる。

地域に密着した医療の担い手は、主治医機能を持つ中小病院や診療所だ。これらの医療機関は、患者にとって身近な存在であり、検査、診断、治療、投薬、健診、介護相談まで様々な手続きを一括して行うことができる。こうした医療機関などが互いに協力して在宅医療を支えるとともに、在宅においての訪問看護、訪問リハビリや訪問介護などの多職種連携を通じて医療と介護をつなぐことが大切である。

在宅医療においては、主治医が専門医とチームを組むことにより、より専門的な医療を提供することが可能となる。

また、急変時の対応に関する患者の不安軽減や家族の負担軽減が、在宅での療養を継続するための重要な課題となっている。そのため、訪問診療や訪問看護については24 時間対応が可能な連携体制の構築、在宅療養支援病院や診療所については在宅療養患者の病状の急変時における円滑な受け入れが求められる。また、主治医機能を持つ中小病院や診療所が、地域包括ケア病棟や在宅療養後方支援病院などと連携して、在宅医療をサポートする。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

「患者本位の医薬分業の実現に向けた見直し」という点から、従来の「門前型」から「地域住民の生活圏型」の保険薬局へ患者シフトが起こる可能性がある。

今後は、人口の高齢化や在宅医療などから、医療機関の近くにある「門前型」よりも、地域住民の暮らしの場にある「生活圏型」の保険薬局のニーズが高まると予想されている。

今後必要とされる「生活圏型」保険薬局のキーワードは、「近くて」「安心でき」「信頼できる」保険薬局である。

生活圏型の保険薬局は、地域包括ケアシステムを構築していく上でも必要なものとなってくる。

今後、ますます施設利用者や在宅療養などが増加すれば、医師、薬剤師、看護師などで構築されるチーム医療のニーズが増し、在宅での服薬管理・指導や24時間対応など、地域のチーム医療の一員として薬剤師が活躍する機会も増える。その中で、地域住民の暮らしの場にある「生活圏型」の保険薬局の薬剤師が活躍すれば、他職種、ひいては地域住民からの信頼を得ることができ、いわゆる“かかりつけ薬局”になることができる。

各生活圏でかかりつけ薬局を設置できれば、かかりつけ医と連携した服薬管理を行えるほか、在宅や施設などでの服薬管理・指導や24時間の対応、処方薬の一元的・継続的管理、多剤・重複投薬等や相互作用の防止、飲み残しの解消などが期待できる。また、患者はOTCの使用方法を含め、気軽に健康相談をすることができ、薬への理解が深まり、飲み忘れ、飲み残しが防止される。

住民の生活圏に近いところとして、現在、ドラッグストアで処方せんを扱っているところも多いことから、地域包括ケアシステムの構築が進むにつれ、処方せんを事業の柱とするドラッグストアが出てくると考えられる。また、コンビニなどで処方せんを扱う店舗が出てくることも考えられる。

高齢化が進行する中で、在宅医療も含めた最適な薬物療法提供、セルフメディケーションの推進、地域包括ケアシステムの推進などの役割を一体的に果たす地域に根ざしたかかりつけ薬局の推進が望まれる。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

外来では、大病院の外来規制強化により、軽症患者の診療所、中小病院への逆紹介を進める

外来医療の機能分化・連携の推進においては、患者がアクセスしやすい中小病院、診療所が主治医機能を果たし、全人的かつ継続的な診療を行う。

主治医機能を果たす中小病院、診療所では、複数の慢性疾患を有する患者の対応や在宅医療の提供及び24時間の対応、専門的な診療や介護が必要な場合に専門医や介護保険施設などへの適切な紹介、継続的な服薬や健康管理などを行う。

専門的な診療が必要となる場合は、主治医が地域の拠点となるような病院(大病院)に紹介する。専門的な診療を行う地域の拠点となるような病院(大病院)では、主治医機能を果たす病院と連携し、外来業務の負担軽減や専門外来の確保、一般外来の縮小を行う。

2014年度診療報酬改定において、200床以上の病院外来と200床未満の病院や診療所の外来の機能分化を図るため、主治医機能の評価、紹介率・逆紹介率の低い大病院における処方料などの適正化を図った。

主治医機能の評価では、外来と在宅を含めて、慢性疾患の主治医機能を果たしているところを評価するため、地域包括診療料、地域包括診療加算という点数が設けられた。主治医機能として、地域包括診療料の算定対象とされているのは200床未満の病院及び診療所だ。つまり、診療所と中小病院が、慢性疾患の外来の受け皿になることになる。また、算定要件の中に、対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上を有する患者という記述があることから、今後、中小病院や診療所で生活習慣病や認知症を診る機会が増えていくと考えられる。

認知症関連のものであれば、診療所だけでなく、中小病院も含めて対応していくということも必要となる。中小病院は、認知症患者を主な対象としたグループホームや、認知症対応をしている老人保健施設を開設しているので、この点も確認しておく必要がある。

また、逆紹介率の低い大病院における処方料や、医療保険制度改革関連法において、紹介状なしで大病院を受診する患者の自己負担などの適正化が図られたため、外来患者が診療所や中小病院に流れていく。

主治医機能の評価創設の狙いは、地域の拠点病院では、急性期は資源の集中的な投入と専門分化、亜急性・回復期リハ病床の増、長期療養(医療療養)は地域でのニーズを支える、病院勤務医の負担軽減、専門外来の確保、一般外来の縮小。診療所等では、医療介護を通じた包括支援・マネジメント、他職種との連携、長期継続ケア、一般外来の受け入れなどとなっている。

紹介率・逆紹介率の低い大病院における処方料などの適正化の狙いは、紹介率・逆紹介率を高める、紹介状なしで受診した患者の初診料、外来診療料の適正化、保険外併用療養費(選定療養)の枠組みの活用推進、外来機能の分化及び病院勤務医の負担軽減等がある。

また、紹介状なしで大病院を受診する患者の自己負担の適正化が図られ、「5000円から1万円」を目安に引き上げる医療保険制度改革関連法が2015年5月27日に成立した。

今後の外来医療は、2014年度の附帯意見なども踏まえ、外来の機能分化をさらに推進し、主治医機能の強化を図り、紹介や逆紹介等による連携の円滑化を図る方向性である。

また、外来の機能分化・連携を推進する方策や、重複投薬や残薬を減らす方策、主治医機能の強化を含め外来診療の質の向上と効率化を図る方策を検討し、病院と診療所の機能分化の推進については、大規模病院で紹介状が無い場合の定額負担導入だけでなく、さまざまな方策が図られる見込みだ。

紹介・逆紹介については、紹介状なしに大病院に行くことを避けるような金銭的なインセンティブや、個々の医師の判断を基に専門外来から診療所へ誘導するような仕組みなどが設けられる可能性がある。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

病床の機能分化と退院促進による在宅へのシフトの進展

病床機能の分化と連携の推進は、大きく2つの項目からなる。

ひとつは病床機能報告制度、もうひとつは地域医療ビジョンの策定だ。

病床機能報告制度とは、患者の疾患の状態に応じ、良質かつ適切な医療が効率的に行われるよう、一般病床について機能分化を進め、加えて、急性期医療への人的資源の集中化など、病床の機能分化・強化を図り、各医療機関が保有する病床について担っている病床機能の現状と今後の方向を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4区分から選択し、その機能を国民と患者に明らかにするため、病棟単位で、都道府県に届け出るものである。この病床機能報告制度により、病床機能の見える化を図り、各機能間の連携を進める。

地域医療ビジョンでは、病院のレセプトデータを全て収集して、高度急性期機能か急性期機能かを判定する。

急性期を名乗っている病院でも、在院日数が長く、診療内容も重度の患者が少なく、その上、検査も少ない入院しているだけというような病院は、急性期ではなく、回復期や慢性期に移行することになる。

このような決定を都道府県が下していくのが、地域医療ビジョンだ。

製薬企業においても、このような環境変化に対応するために、地域単位の支店長や所長が、これからこの地域は、どのような環境になっていくのか、人口や医療機関の変化などを考えて対策を進めていくことが重要となる。

2014年度診療報酬改定では、「急性期病床の機能の明確化」と「急性期後の受け皿となる病床の整備」を促進するため、主に7対1病床の要件(重症度、医療・看護必要度など)の厳格化や、地域包括ケア病棟(亜急性期病棟)の評価、有床診療所の機能に応じた評価などを行った。

これにより、36万床近くまで膨れ上がった7対1病床を削減し、亜急性期病棟を増加させて、高齢者が爆発的に増える2025年へ向けて充実強化を図る狙いだ。

亜急性期病棟においては、今後急増する高齢者や、今後削減される7対1病床の受け皿として、診療報酬上の名称を「地域包括ケア病棟」と変えて、これまでの病床単位から病棟単位で設置することになった。

急性期病床を減らして、減少の対象となった病床は、急性期を脱したあとの受け皿となる病床の整備に移行していくことになる。この病床が、地域包括ケア病棟だ。

地域包括ケア病棟は在宅との連携を強化する。急性期はどんどん在院日数を短縮して、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟、療養病床などを介して、在宅に患者を移行させていく流れだ。

我が国の病床数は緩やかに減少する傾向にあり、一般病床などの平均在院日数も、短縮する傾向にある。7対1入院基本料の届出病床数の動向を見てみると、2014年3月から10月間に届出病床は約14,000床減少した。その後、2015年4月までに約5,300床の増加と約7,700床の減少があり、全体では約2,000床の減少となっている。また、7対1一般病棟の病床数が減少した医療機関では、10対1一般病棟入院基本料や地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)の届出が増加している。

今後は、緊急性の高い患者や、高度な医療を要する患者の受け入れを評価するとともに、入院医療の提供に関する連携や在宅復帰の推進を図り、地域包括ケアの構築につなげていく。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

かかりつけ薬局制度の促進

厚生労働省におけるかかりつけ薬局制度の促進として、まず、医薬分業に対する厚生労働省の基本的な考え方を見ていこうと思う。

医薬分業に対する厚生労働省の基本的な考え方としては、薬局の薬剤師が専門性を発揮して、患者の服用薬について一元的な薬学的管理を実施することにより、多剤・重複投薬の防止や残薬解消なども可能となり、患者の薬物療法の安全性・有効性が向上するほか、医療費の適正化にもつながるとしている。

厚生労働省は、2015年5月21日、隣接もしくは近隣にある病院の処方せんを主に扱う門前薬局の診療報酬を減らす方向で検討することを明らかにした。一方、1人の患者の薬の服用歴をまとめて管理する「かかりつけ薬局」の診療報酬を手厚くし、普及を進めていく。

現在は、多くの患者が門前薬局で薬を受け取っているが、今後は、人口の高齢化などから、患者はどの医療機関を受診しても、身近なところにあるかかりつけ薬局に行くと考えられる。

これに対応するため、厚生労働省は、地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬局が服用薬など患者情報の一元管理や在宅での服薬管理・指導などの機能を果たす、地域で暮らす患者本位の医薬分業の実現に取り組むとしている。

患者本位の医薬分業で実現できることは以下の7点とされている。

  • 薬剤師は、患者の状態や服用薬を一元的・継続的に把握し、処方内容をチェックする
  • 複数診療科を受診した患者は、多剤・重複投薬等や相互作用が防止される
  • 患者は、薬の副作用や期待される効果の継続的な確認を受けられる
  • 在宅で療養する患者も、行き届いた服薬管理・指導が受けられる
  • 薬への理解が深まり、飲み忘れ、飲み残しが防止される。これにより、残薬が解消される
  • 薬剤師は、こうした取組を、地域のかかりつけ医など多職種と連携して行う
  • 患者はOTCの使用方法を含め、気軽に健康相談を受けられる など

また、患者にとってメリットが実感できるかかりつけ薬局を増やし、いわゆる門前薬局からの移行を推進するため、調剤報酬の例えば以下のような評価等の在り方について検討するとしている。

  • 在宅での服薬管理・指導や24時間対応など、地域のチーム医療の一員として活躍する薬剤師への評価
  • かかりつけ医と連携した服薬管理に対する評価
  • 処方薬の一元的・継続的管理に対する評価
  • 薬剤師の専門性を生かした後発医薬品の使用促進に対する評価
  • いわゆる門前薬局に対する評価の見直しなどを行うことにより、患者の薬物療法の安全性・有効性が向上するほか、多剤・重複投薬等の防止や残薬解消により、医療費の適正化にもつながる。

かかりつけ薬局の促進においては今後、調剤報酬を抜本的に見直すこととし、次期改定以降、累次に亘る改定で対応するよう、中央社会保険医療協議会で具体的に検討する。また、PDCAサイクルにおいて、医薬分業の質を評価できる適切な指標(疑義照会、在宅医療への参画など)を設定し、定期的な検証を実施しながら医薬分業を推進する。

薬局構造規制については、いわゆる門前薬局からかかりつけ薬局への移行を進めることに併せて、「経営上の独立性」・「患者の自由な薬局選択」を確保した上で、「形式的な参入規制」から「薬局の機能の評価」へ転換し、患者本位の医薬分業を実現できるよう、今後、中央社会保険医療協議会で検討を進めていく。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

骨太の方針2015における保険薬局への影響は?

2015年6月30日、安倍内閣は、2020年度までの財政健全化目標を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)と、経済政策の指針となる成長戦略を閣議決定された。

2020年度までの財政健全化対策として、「歳出規模の大きい社会保障や地方財政の分野で歳出を抑える対策」と、実質成長率が2%以上との見通しを前提とした「高成長による税収増で財政を立て直す対策」の2つが柱である。

歳出抑制の目玉となった社会保障費対策は、様々な分野に渡って改革が実施されることとなる。

特に、保険薬局は、経営形態の改革まで含めた改革が求められており、この改革を実現するために、2016年度から2018年度の3年連続の診療報酬改定(消費税引き上げによる改定も含む)を活用する見込みだ。

まず、骨太の方針における社会保障抑制策で、保険薬局へ影響を及ぼす内容を整理すると次の通りである。

  • 医療費データを活用して外来医療での重複受診、重複投与、重複検査などを適正化する。
  • 健康づくりの取組等に応じたヘルスケアポイント付与や保険料への支援になる仕組み等の個人に対するインセンティブを付与することで、疾病予防、健康づくり、後発医薬品の使用、適切な受療行動を更に促進する。
  • 医薬品や医療機器等の保険適用に際して費用対効果を考慮することについて、2016年度診療報酬改定において試行的に導入した上で、速やかに本格的な導入をすることを目指す。
  • 市販品類似薬に係る保険給付について、公的保険の役割、セルフメディケーションの推進、患者や医療現場への影響等を考慮しつつ見直しを検討する。
  • 後発医薬品に係る数量シェアの目標値については、2017年央に70%以上とするとともに、2018年度から2020年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする。
  • 後発医薬品の価格算定ルールの見直しを検討するとともに、後発医薬品の価格等を踏まえた特許の切れた先発医薬品の保険制度による評価の仕組みや在り方等について検討する。
  • 薬価については、2018年度までの改定実績も踏まえ、その頻度を含めて検討する。
  • かかりつけ薬局の推進においては、薬局全体の改革を図り、薬剤師による効果的な投薬・残薬管理や医師との連携による地域包括ケアへの参画を目指す。
  • 2016年度診療報酬改定において、調剤報酬についての調剤技術料・薬学管理料の妥当性、保険薬局の果たしている役割について検証する。
  • 同改定で、服薬管理や在宅医療等への貢献度による評価や適正化を行い、患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う。

骨太の方針2015から見た保険薬局への影響

上記の改革が実施されると、重複受診是正などで処方せん枚数が減少、調剤報酬改定で処方せん1枚当たり単価が減収となり、薬価差益も長期収載品、後発医薬品の価格引き下げなどにより縮小することになる。結果、これまで保険薬局の経営の大きな要素であったものがマイナスになり、保険薬局も大きな転換期を迎えることになる。

次に、

  • かかりつけ薬局制度の促進
  • 病床の機能分化と退院促進による病病連携、病診連携、在宅へのシフトの進展
  • 外来では、大病院の外来規制強化により、軽症患者の診療所、中小病院への逆紹介を進める

などにより、患者の流れが変化してくる。患者の流れの変化により、処方せん枚数、その処方内容なども異なってくる。

さらに、「患者本位の医薬分業の実現に向けた見直し」という点から、患者の利便性、院内・院外による患者負担額の違い、薬歴問題なども指摘されている。国民目線からみて、同じ医薬品で同じサービスで負担額が異なるということは、国民には理解しにくいものである。であるとすれば、従来の「門前型」から「地域住民の生活圏型」の保険薬局へ患者シフトが起こる可能性がある。

2025年問題に向け、「地域住民が安心して暮らせる街づくり」の中で保険薬局がどのような役割を果たせるかを考えることが大切である。

「在宅」「24時間対応」「地域包括ケア」そして、元気な高齢者が増加すると見込まれ、セルフメディケーションのニーズも増すと考えられる。

今後、保険薬局及び薬剤師の役割が地域住民の生活圏で増すとともに、地域の街づくりへの貢献まで視野に入れた活動が求められる。

筆者:(一社)健康コンシェルジュ大和 理事長 藤田 満穂

骨太の方針2015について